专利摘要:
合理的に設計されたLAGLIDADGメガヌクレアーゼ及びそのようなメガヌクレアーゼを作製する方法を提供する。さらに、病原体感染の処置及び診断や研究におけるインビトロ適用のための遺伝子治療の方法に加え、ゲノム内の限定された数の遺伝子座に挿入された所望のDNA配列を有する組換え細胞及び生物を作製するためにメガヌクレアーゼを使用する方法を提供する。
公开号:JP2011505809A
申请号:JP2010537144
申请日:2008-12-08
公开日:2011-03-03
发明作者:ジャンツ,デレック;スミス,ジェームス,ジェファーソン;ニコルソン,マイケル,ジー.
申请人:プレシジョン バイオサイエンシズ,インク.;
IPC主号:C12N9-16
专利说明:

[0001] 本発明は、分子生物学及び組換え核酸技術分野に関する。特に、合理的に設計された、天然に存在しないメガヌクレアーゼであって、DNA認識配列に対する特異性及び/又は親和性が改変されているメガヌクレアーゼに関する。本発明はまた、該メガヌクレアーゼの製造方法及び該メガヌクレアーゼを使用する組換え核酸及び生物の製造方法に関する。]
背景技術

[0002] ゲノム工学は、ゲノム内において特定の遺伝子配列を挿入、削除、置換及び、場合によっては操作する能力を必要とするが、多くの治療及びバイオテクノロジーへの応用が可能である。ゲノム改変の効果的な手法の開発は、遺伝子治療、農業科学技術、合成生物学に主要な目的を置いている(Porteusら, (2005), Nat. Biotechnol. 23: 967-73; Tzfiraら, (2005), TrendsBiotechnol. 23: 567-9; McDanielら, (2005), Curr. Opin. Biotechnol. 16: 476-83)。DNA配列を挿入又は改変する通常の方法は、ゲノム標的に相同な配列に挟まれたトランスジェニックDNA配列を導入し、相同的組換えを良好に行うために、それを選択又はスクリーニングすることを含む。トランスジェニックDNAとの組換えは起こりにくいが、標的部位におけるゲノムDNAの二本鎖切断により促進される。DNA二本鎖切断を引き起こすために、放射線照射や化学処理を含む多くの方法が使用されてきた。これらの方法は組換えを効果的に促進するが、二本鎖切断はゲノム内でばらばらに起こるので、変異原性及び毒性が高いことがある。現在、ある染色体背景における固有の部位に標的遺伝子改変を行えないことが、ゲノム工学の成功にとって主要な障害となっている。]
[0003] この目標を達成する一つのアプローチは、ゲノム内で単一部位のみに存在する十分に大きな配列に特異性を有するヌクレアーゼを使用して、標的遺伝子座に二本鎖切断を起こして相同的組換えを促進することである(例えば、Porteusら, (2005), Nat. Biotechnol. 23: 967-73参照)。この方法の有効性は、遺伝子操作されたジンクフィンガーDNA結合ドメインとFokI制限酵素の非特異的ヌクレーゼドメインのキメラ融合を利用して様々な生物において実証されている(Porteus, (2006), Mol Ther 13: 438-46; Wrightら, (2005), Plant J. 44: 693-705; Urnovら, (2005), Nature 435: 646-51)。これらの人工的なジンクフィンガーヌクレアーゼは部位特異的な組換えを促進するが、ヌクレアーゼドメインの下方制御により非特異的切断活性が残存し、しばしば意図しない部位を切断する(Smithら, (2000), Nucleic AcidsRes. 28: 3361-9)。このような意図しない切断は、処理生物に突然変異や毒性を引き起こすことがある(Porteusら, (2005), Nat. Biotechnol. 23: 967-73)。]
[0004] 植物や菌類のゲノムに普通に見出される15〜40の塩基対切断部位を認識する天然に存在するヌクレアーゼ群は、より毒性の低いゲノム工学代替手段を提供できるかも知れない。そのような「メガヌクレアーゼ」又は「ホーミングエンドヌクレアーゼ」は、グループ1自己スプライシングイントロン及びインテインのような寄生性DNAエレメントを伴うことが多い。これらは本来、染色体に二本鎖切断を作製して宿主ゲノムの特異的な位置に相同的組換え又は遺伝子挿入を促進し、細胞のDNA修復機構を補強する(Stoddard, (2006), Q. Rev. Biophys. 38: 49- 95)。メガヌクレアーゼは、通常4つのファミリー:LAGLIDADGファミリー、GIY‐YIGファミリー、His‐Cysボックスファミリー及びHNHファミリーに分類される。これらのファミリーは、触媒活性及び認識配列に影響を及ぼす構造モチーフにより特徴付けられる。例えば、LAGLIDADGファミリーのメンバーは、LAGLIDADGモチーフの保存コピーを1つ又は2つ有することにより特徴付けられる(Chevalierら, (2001), Nucleic AcidsRes. 29(18): 3757-3774参照)。2つのLAGLIDADGモチーフを有するメンバーは単量体を形成するのに対して、単一のLAGLIDADGモチーフを有するLAGLIDADGメガヌクレアーゼは、ホモ二量体を形成する。同様に、GIY‐YIGファミリーメンバーは、70〜100残基長であり、その内の2つは活性に不可欠である4つの不変残基を有する4つ又は5つの保存配列モチーフを有するGIY‐YIGモジュールを有している(Van Roeyら, (2002), Nature Struct. Biol. 9: 806-811参照)。His‐Cysボックスメガヌクレアーゼは、数百のアミノ酸残基を含有する領域にわたるヒスチジンとシステインの高度保存配列により特徴付けられる(Chevalierら, (2001), Nucleic Acids Res. 29(18): 3757-3774参照)。NHNファミリーの場合には、メンバーはアスパラギン残基に囲まれた2組の保存ヒスチジンを有するモチーフにより定義される(Chevalierら, (2001), Nucleic Acids Res. 29(18): 3757-3774参照)。メガヌクレアーゼの4つのファミリーは、保存構造エレメントに関して互いに大きく離れており、そのため、DNA認識配列の特異性及び触媒活性が大きく異なる。]
[0005] 本来、LAGLIDADGファミリーである天然のメガヌクレアーゼは、植物、酵母、ショウジョウバエ、哺乳類細胞及びネズミの部位特異的ゲノム修飾を効果的に促進するために使用されてきたが、この方法はメガヌクレアーゼ認識配列を保存する相同遺伝子(Monnatら. (l999),Biochem. Biophys. Res. Commun. 255: 88-93)又は認識配列を導入した予め遺伝子操作されたゲノム(Rouetら, (1994), Mol. Cell. Biol. 14: 8096-106; Chiltonら, (2003), Plant Physiol. 133: 956-65; Puchtaら, (1996), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 5055-60; Rongら, (2002), Genes Dev. 16: 1568-81; Goubleら, (2006), J. Gene Med. 8(5): 616-622)の改変に限定されていた。]
[0006] ヌクレアーゼ刺激遺伝子改変の体系的な実現には、ゲノムに存在する部位に標的DNA切断に特異性を持たせた改変酵素を使用する必要があるので、医学的又は生物工学的に関連のある部位で遺伝子改変を促進させるためにメガヌクレアーゼを適応させることには大きな関心が寄せられている(Porteusら, (2005), Nat. Biotechnol. 23: 967-73; Sussmanら, (2004), J. MoI. Biol. 342: 31-41; Epinatら, (2003), Nucleic AcidsRes. 31 : 2952-62)。]
[0007] コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)由来のメガヌクレアーゼI‐CreIは、葉緑体染色体の22塩基対認識配列を認識して切断するLAGLIDADGファミリーのメンバーであり、メガヌクレアーゼ再設計の標的として魅力的である。その野生型酵素は、各単量体が完全長認識配列中の9塩基対と直接接触するホモ二量体である。この認識配列の1箇所で(Sussmanら, (2004), J. Mol. Biol. 342: 31-41; Chamesら, (2005), Nucleic AcidsRes. 33: el78; Seligmanら, (2002), Nucleic Acids Res. 30: 3870-9)、さらに最近では、この認識配列の3箇所で(Arnouldら, (2006), J. MoI. Biol. 355: 443-58)、塩基優先性を改変する変異をI‐CreI内に同定するために、遺伝子選択法が使用されてきた。I‐CreIタンパク質‐DNA界面は、DNA塩基に直接接する9つのアミノ酸と改変界面に対する潜在的接触を形成することができる少なくとも5つの追加的位置を含有する。この界面の大きさにより組合せの複雑さが生じ、大きく改変した切断部位を有する酵素を選択するために構築された配列ライブラリーから適切にサンプルを抽出することは困難である。]
[0008] ゲノムの正確な改変を促進するヌクレアーゼは依然として必要である。更に、特定の遺伝子座での遺伝子配列の操作が可能な所定の、合理的に設計された認識配列を有するヌクレアーゼを作製できる技術と、正確な配列改変を有する生物を遺伝子操作するためのヌクレアーゼを利用できる技術も必要である。]
発明が解決しようとする課題

[0009] 本発明は、一つには、メガヌクレアーゼが二本鎖DNA認識配列に結合する場合にDNA塩基及びDNA骨格に接触し、従って、該酵素の特異性及び活性に影響を及ぼす、メガヌクレアーゼのLAGLIDADGファミリー内の特異的アミノ酸残基の同定及び特徴付けに基づいている。この発見を利用して、以下に詳述するように、メガヌクレアーゼの認識配列の特異性及び/又はDNA結合親和性を変えることができるアミノ酸置換の同定、及び天然に存在するメガヌクレアーゼでは認識できない目的DNA配列を認識することができるメガヌクレアーゼの合理的な設計及び展開がなされてきた。本発明はさらに、組換え核酸及び生物を作製するためにメガヌクレアーゼを使用する方法を提供し、メガヌクレアーゼを利用して生物のゲノム内の限定された数の遺伝子座に目的遺伝子配列の組換えを引き起こして、遺伝子治療、病原性感染症の治療及び診断・研究におけるインビトロ利用に適用する方法を提供する。]
課題を解決するための手段

[0010] 次に述べるように、ある実施形態において、本発明は、野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:1の野生型I‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、該組換えメガヌクレアーゼは配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4及び配列番号:5から選択されるI‐CreIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼは従来知られている削除改変ではない、表1に記載の少なくとも一つの改変を有する。]
[0011] 他の実施形態において、本発明は、野生型I‐MsoIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:6の野生型I‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、該組換えメガヌクレアーゼは配列番号:7及び配列番号:8から選択されるI‐MsoIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼは従来知られている削除改変ではない、表2に記載の少なくとも一つの改変を有する。]
[0012] 他の実施形態において、本発明は、野生型I‐SceIメガヌクレアーゼと比較して認識配列に対する特異性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、該組換えメガヌクレアーゼは配列番号:10及び配列番号:11のI‐SceIメガヌクレアーゼ認識配列と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列に特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼは従来知られている削除改変ではない、表3に記載の少なくとも一つの改変を有する。]
[0013] 他の実施形態において、本発明は、野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:12の野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、該組換えメガヌクレアーゼは配列番号:13及び配列番号:14から選択されるI‐CeuIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼは従来知られている削除改変ではない、表4に記載の少なくとも一つの改変を有する。]
[0014] 本発明のメガヌクレアーゼは、組換えメガヌクレアーゼの配列特異性に影響を及ぼすように、認識配列内の1つ、2つ、3つ又はそれ以上の位置に、本明細書に開示された1つ、2つ、3つ又はそれ以上の改変を有することができる。メガヌクレアーゼは、本明細書に開示された新規の改変のみを有することもできるし、従来知られている改変との組み合わせとして本明細書に開示された新規の改変を有することもできるが、従来知られている改変のみを有する組換えメガヌクレアーゼは特に除外される。]
[0015] 他の態様では、本発明は配列非特異的である二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供する。これは、二本鎖DNA認識配列の骨格に接触するメガヌクレアーゼ残基の改変により達成される。該改変は、結合親和性を上昇又は低下させることができるので、該酵素の活性全体を上昇又は低下させることができる。更に、結合及び活性の上昇/低下は、配列特異性を低下/上昇させることが知られている。従って、本発明は、主にDNA結合親和性を変化させることによって、配列特異性を変化させる方法を提供する。]
[0016] 従って、ある実施形態において、本発明は、野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が(1)(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのE80、D137、I81、L112、P29、V64又はY66の置換又は(b)K又はRでのT46、T140又はT143の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇しているか、反対に、(2)(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK34、K48、R51、K82、Kl16又はKl39の置換又は(b)D又はEでのI81、L112、P29、V64、Y66、T46、T140又はT143の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下しているものである。]
[0017] 他の実施形態では、本発明は、野生型I‐MsoIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が(1)(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのE147、I85、G86又はY118の置換又は(b)K又はRでのQ41、N70、S87、T88、H89、Q122、Q139、S150又はN152の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇しているか、反対に、(2)(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK36、R51、K123、K143又はK144の置換又は(b)D又はEでのI85、G86、Y118、Q41、N70、S87、T88、H89、Q122、Q139、S150又はN152の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下しているものである。]
[0018] 他の実施形態では、本発明は、野生型I‐SceIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が(1)(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのD201、L19、L80、L92、Y151、Y188、I191、Y199又はY222の置換又は(b)K又はRでのN15、N17、S81、H84、N94、N120、T156、N157、S159、N163、Q165、S166、N194又はS202の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇しているか、反対に、(2)(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK20、K23、K63、K122、K148、K153、K190、K193、K195又はK223の置換又は(b)D又はEでのL19、L80、L92、Y151、Y188、I191、Y199、Y222、N15、N17、S81、H84、N94、N120、T156、N157、S159、N163、Q165、S166、N194又はS202の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下しているものである。]
[0019] 他の実施形態では、本発明は、野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼを提供するものであって、該メガヌクレアーゼは配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が(1)(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのD25又はD128の置換又は(b)K又はRでのS68、N70、H94、S117、N120、N129又はH172の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇しているか、反対に、(2)(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK21、K28、K31、R112、R114又はR130の置換又は(b)D又はEでのS68、N70、H94、S117、N120、N129又はH172の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下しているものである。]
[0020] 本発明のメガヌクレアーゼは、DNA結合親和性に影響を及ぼすように、本明細書に開示された骨格接触残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上に改変を有することができる。更に、DNA結合親和性に影響を及ぼすこれらの改変は、認識配列内の特定の位置での組換えメガヌクレアーゼの配列特異性を変更するような上記の骨格接触残基の1つ又は複数の新規改変と組み合わせることが可能であり、また、上述の従来の改変と、又は新規の改変と従来の改変との組み合わせと組み合わせることも可能である。特に、骨格接触改変と塩基接触改変を組み合わせることによって、所望の特異性及び活性を有する組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計することができる。例えば、DNA結合親和性の上昇は、塩基接触残基への変化を設計することによる親和性の喪失を相殺することによって設計でき、この親和性の低下は、配列特異性も低下させ一連の酵素の認識配列を広くすることによって設計することができる。]
[0021] 他の態様では、本発明はホモまたはヘテロ二量体形成に対する親和性が変化している合理的に設計されたメガヌクレアーゼ単量体を提供する。二量体形成に対する親和性は、参照野生型メガヌクレアーゼのように、同じ単量体で(すなわち、ホモ二量体形成)又は異なる単量体で(すなわち、ヘテロ二量体形成)測定することができる。これらの組換えメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ二量体における単量体間のタンパク質−タンパク質界面に存在するアミノ酸残基の改変を有する。該改変はヘテロ二量体形成を促進し、非回文認識配列を有するメガヌクレアーゼを作成することができる。]
[0022] 従って、ある実施形態において、本発明は、参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成に対する親和性が変化している組換えメガヌクレアーゼ単量体を提供するものであって、該組換え単量体は配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのK7、K57又はK96の置換、又は(b)K又はRでのE8又はE61の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである。そのような組換え単量体に基づいて、本発明はまた、(1)配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのK7、K57又はK96の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第1のポリペプチドと、(2)配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(b)K又はRでのE8又はE61の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第2のポリペプチドと、を有する組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体を提供する。]
[0023] 他の実施形態において、本発明は、参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼ単量体を提供するものであって、該組換え単量体は配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR302の置換又は(b)K又はRでのD20、E11又はQ64の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである。そのような組換え単量体に基づいて、本発明はまた、(1)配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR302の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第1のポリペプチドと、(2)配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(b)K又はRでのD20、E11又はQ64の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第2のポリペプチドと、を有する組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体を提供する。]
[0024] 他の実施形態において、本発明は、参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼ単量体を提供するものであって、該組換え単量体は配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR93の置換又は(b)K又はRでのE152の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである。そのような組換え単量体に基づいて、本発明はまた、(1)配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR93の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第1のポリペプチドと、(2)配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するが、二量体形成親和性が(b)K又はRでのE152の置換から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化しているものである第2のポリペプチドと、を有する組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体を提供する。]
[0025] 二量体形成親和性が変化している組換えメガヌクレアーゼ単量体又はヘテロ二量体はまた、上述の塩基接触残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上の改変、上述の骨格接触残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上の改変、又は両者の組み合わせを有することができる。従って、例えば、単量体の塩基接触を改変して配列特異性を変化させることができ、単量体の骨格接触を改変してDNA結合親和性を変化させることができ、タンパク質‐タンパク質界面を改変して二量体形成に影響を与えることができる。そのような組換え単量体は同様に改変された単量体と組み合わせて、所望の配列特異性及び活性を有する、合理的に設計されたメガヌクレアーゼヘテロ二量体を作成することができる。]
[0026] 他の態様では、本発明は、本明細書に記載され、及び本明細書によって可能となる合理的に設計されたメガヌクレアーゼの様々な使用方法を提供する。これらの方法には、遺伝子改変された細胞及び生物の作製、遺伝子治療による疾患の処置、病原体感染の治療並びに診断及び研究のインビトロ適用が含まれる。]
[0027] 従って、一つの態様において、本発明は、(i)本発明のメガヌクレアーゼをコードする第1の核酸配列及び(ii)該目的配列を有する第2の核酸配列で該細胞をトランスフェクトすることによって、染色体に挿入された目的の外因性配列を含有する遺伝子改変された真核細胞を作製する方法を提供する。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、相同的組換え又は非相同的末端結合により染色体の該切断部位に該目的配列が挿入される。]
[0028] または、他の態様において、本発明は、本発明のメガヌクレアーゼタンパク質を細胞に導入し、該目的配列を有する核酸で該細胞をトランスフェクトすることによって、染色体に挿入された目的の外因性配列を含有する遺伝子改変された真核細胞を作製する方法を提供する。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、相同的組換え又は非相同的末端結合により染色体の該切断部位に該目的配列が挿入される。]
[0029] 他の態様において、本発明は、本発明のメガヌクレアーゼをコードする核酸で該細胞をトランスフェクトすることによって、染色体の標的配列を破壊して遺伝子改変された真核細胞を作製する方法を提供する。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、該切断部位での非相同的末端結合により標的配列を破壊する。]
[0030] 他の態様において、本発明は、上述の方法により遺伝子改変された真核細胞を作製し、該遺伝子改変された真核細胞を成長させて遺伝子改変された生物を作製する、遺伝子改変された生物を製造する方法を提供する。これらの実施形態において、真核細胞は、配偶子、接合子、胚盤胞細胞、胚性幹細胞及びプロトプラスト細胞から選択することができる。]
[0031] 他の態様において、本発明は、(i)本発明のメガヌクレアーゼをコードする第1の核酸配列及び(ii)目的の配列を有する第2の核酸配列を含有する1つ又は複数の核酸で真核生物の少なくとも1つの細胞をトランスフェクトすることによって、真核生物における遺伝子治療による疾患の処置方法を提供する。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、該目的配列が相同的組換え又は非相同的末端結合により染色体に挿入され、該目的配列の挿入により疾患の遺伝子治療がなされる。]
[0032] または、他の態様において、本発明は、本発明のメガヌクレアーゼタンパク質を真核生物の少なくとも1つの細胞に導入し、目的配列を有する核酸で該細胞をトランスフェクトすることによって、真核生物における遺伝子治療による疾患の処置方法を提供する。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、相同的組換え又は非相同的末端結合により染色体の該切断部位に該目的配列が挿入され、該目的配列の挿入により疾患の遺伝子治療がなされる。]
[0033] 他の態様において、本発明は、真核生物の染色体の標的配列を破壊して真核生物における遺伝子治療による疾患の処置方法を提供する。該方法では、本発明のメガヌクレアーゼをコードする核酸で真核生物の少なくとも1つの細胞をトランスフェクトする。メガヌクレアーゼは染色体に切断部位を形成し、該切断部位での非相同的末端結合により標的配列を破壊し、該標的配列の破壊により疾患の遺伝子治療がなされる。]
[0034] 他の態様において、本発明は、病原体ゲノムの標的配列を破壊し、本発明のメガヌクレアーゼをコードする核酸で少なくとも1つの感染宿主細胞をトランスフェクトすることによって、真核生物宿主におけるウィルス又は原核生物病原体感染を処置する方法を提供する。メガヌクレアーゼは該ゲノムに切断部位を形成し、(1)該切断部位での非相同的末端結合又は(2)第2の核酸での相同的組換えにより該標的配列が破壊され、該標的配列の破壊により感染の処置がなされる。]
[0035] さらに一般的には、他の態様において、本発明は、認識配列の少なくとも1つの塩基位置に対する特異性を変化させた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法を提供する。該方法では、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)該塩基位置の塩基接触面を形成するアミノ酸残基を同定し、(3)該接触面の少なくとも第1の残基のβ‐炭素と該塩基位置の少なくとも第1の塩基との距離を決定し、(4)(a)該第1の塩基から6Å未満である第1の残基に対しては、G群、C群、T群又はA群の好適なメンバーの1つである1群及び/又は2群から置換を選択し、(b)該第1の塩基から6Åを超える第1の残基に対しては、G群、C群、T群又はA群の好適なメンバーの1つである2群及び/又は3群から置換を選択することにより、望ましい変化を促進するアミノ酸置換を同定する。各群は本明細書に定義される。この方法は、別の位置はもちろんのこと、同じ塩基に対して別の接触残基について繰り返してもよく、同じ位置で別の塩基に対しての接触残基について繰り返してもよい。]
[0036] 更に、他の一般的態様において、本発明は、DNA結合親和性を高めた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法を提供する。該方法では、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)骨格接触面を形成するアミノ酸接触残基を同定し、(3)(a)負に荷電されているか又は疎水性の側鎖を有する接触残基に対しては、非荷電/極性又は正荷電の側鎖を有する置換を選択し、又は(b)非荷電/極性側鎖を有する接触残基に対しては、正荷電の側鎖を有する置換を選択して、DNA結合親和性を高めるアミノ酸置換を同定する。逆に、本発明は、DNA結合親和性を低下させた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法を提供する。該方法では、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)骨格接触面を形成するアミノ酸接触残基を同定し、(3)(a)正に荷電されている側鎖を有する接触残基に対しては、非荷電/極性又は負荷電の側鎖を有する置換を選択し、又は(b)疎水性又は非荷電/極性の側鎖を有する接触残基に対しては、負荷電の側鎖を有する置換を選択して、DNA結合親和性を低下させるアミノ酸置換を同定する。]
[0037] 前述の態様のいずれの実施形態においても、組換えメガヌクレアーゼは配列番号:37から配列番号:87の群から選択される認識配列を有する。]
[0038] 本発明のこれら及び他の態様及び実施形態は、以下の本発明の詳細な説明により当業者に明白である。]
図面の簡単な説明

[0039] 図1(A)は、I‐CreIホモ二量体とその天然に存在する二本鎖認識配列との相互作用を結晶学的データに基づいて図示する。この概略図は、2つの楕円形として示されるホモ二量体が結合する、説明目的のみのために巻き戻した状態として示される認識配列(配列番号:2及び配列番号:3)を描写している。各DNA半部位の塩基は、−1から−9まで番号が付けられ、認識表面を形成するI‐CreIのアミノ酸残基は、アミノ酸一文字表記及び残基の位置を示す数字により表示されている。黒の実線はDNA塩基との水素結合を、点線は酵素設計により接触が新たに形成されるが、野生型複合体ではDNAと接触しないアミノ酸の位置を、矢印はDNA骨格に相互作用し、切断活性に影響を与える残基を示す。
図1(B)は、図1(A)の右側の切断半部位の−4位置におけるA−T塩基対間の野生型接触を示す。具体的には、Q26残基のA塩基との相互作用を示している。177残基は塩基対に近接しているが、特に相互作用はしていない。
図1(C)は、177残基がE77に改変された、合理的に設計されたI‐CreIメガヌクレアーゼの変異体との相互作用を示す。この変更の結果として、−4位置にはG−C塩基対が好ましい。図1(A)の左側の切断半部位に結晶学的に観察されたように、Q26とG塩基との相互作用には水分子が介在している。
図1(D)は、Q26がE26に変異され、I77残基がR77に変異された、合理的に設計されたI‐CreIメガヌクレアーゼの変異体との相互作用を示す。この変更の結果として、−4位置にはC−G塩基対が好ましい。
図1(E)は、Q26がA26に変異され、I77残基がQ77に変異された、合理的に設計されたI‐CreIメガヌクレアーゼの変異体との相互作用を示す。この変更の結果として、−4位置にはT−A塩基対が好ましい。
図2(A)は、認識配列の1つについての、野生型I‐CreIメガヌクレアーゼ(WT)と11個の本発明の合理的に設計されたメガヌクレアーゼヘテロ二量体との比較を示す。WT認識配列と比較して保存されている塩基には影が付けられている。9つの塩基対半部位が太字になっている。WTは野生型(配列番号:4)、CFは嚢胞性線維症のほとんどの症例に関与しているヒトCFTR遺伝子のΔF508対立遺伝子(配列番号:25)、MYDは筋緊張性ジストロフィーに関与しているヒトDMキナーゼ遺伝子(配列番号:27)、CCRはヒトCCR5遺伝子(主要HIV共受容体)(配列番号:26)、ACHは軟骨形成不全症に関連しているヒトFGFR3遺伝子(配列番号:23)、TATはHIV‐IのTAT/REV遺伝子(配列番号:15)、HSVはHSV‐IのUL36遺伝子(配列番号:28)、LAMはバクテリオファージλp05遺伝子(配列番号:22)、POXは痘瘡(天然痘)ウィルスgp009遺伝子(配列番号:30)、URAは出芽酵母URA3遺伝子(配列番号:36)、GLAはシロイヌナズナGL2遺伝子(配列番号:32)、BRPはシロイヌナズナBP‐1遺伝子(配列番号:33)を示す。
図2(B)は、野生型I‐CreI(WT)及びと11個の合理的に設計されたメガヌクレアーゼヘテロ二量体のそれぞれを全12酵素に対する認識部位を提供するプラスミドと6時間37℃でインキュベートした結果を示す。切断率を各四角内に示す。
図3は、野生型及び合理的に設計されたI‐CreIホモ二量体の切断パターンを示す。Aは野生型I‐CreI、BはI‐CreI K116D、C〜Lは本発明の合理的に設計されたメガヌクレアーゼである。酵素は、目的の切断半部位の回文配列及び27の対応する一塩基対変異体を提供するプラスミドのセットとインキュベートした。棒グラフは37℃で4時間での分別切断(F)を示す。黒いバーは表1に基づいて期待される切断パターンを、灰色のバーは期待される切断パターンから外れたDNA部位を、白い丸は期待される認識部位の塩基を表す。更に、2時間の切断の経時変化が示される。白丸経時変化はE80Q変異を欠くCCRl及びBRP2酵素による切断に対応するC及びLにプロットしている。切断部位は、図2(A)で説明したヘテロ二量体酵素の5'(左欄)及び3'(右欄)半部位に対応する。] 図1 図2 図3
[0040] 1.1.導入
本発明は、ひとつには、メガヌクレアーゼが二本鎖DNA認識配列と結合するとDNA塩基とは特異的な接触を形成するが、DNA骨格とは非特異的な接触を形成し、従って、該酵素の認識配列に対する特異性及びDNA結合親和性に影響を及ぼす、メガヌクレアーゼのLAGLIDADGファミリー内の特定のアミノ酸の同定及び特徴付けに基づいている。この発見は、以下に詳述するように、該酵素の特異性及び/又は親和性に変化を与えることができるメガヌクレアーゼ内のアミノ酸置換の同定、及び、天然に存在するメガヌクレアーゼは認識しない所望のDNA配列を認識することができ、及び/又は天然に存在するメガヌクレアーゼと比較して特異性及び/又は親和性を上昇又は低下させたメガヌクレアーゼの合理的設計と開発に使用されてきた。更に、DNA結合親和性は、配列特異性だけでなく、酵素活性にも影響を与えるので、本発明は、天然に存在するメガヌクレアーゼと比較して活性を変化させた合理的に設計されたメガヌクレアーゼを提供する。また、本発明は、ヘテロ二量体の形成を促進するために、二量体の形成に関与する単量体間の界面での残基が改変を受けている合理的に設計されたメガヌクレアーゼを提供する。最後に、本発明は、本明細書に記載のように、遺伝子治療、抗病原体、抗癌及びインビトロ適用に加えて、組換え細胞及び生物の作製に対して合理的に設計されたメガヌクレアーゼの使用を提供する。]
[0041] 全般的なこととして、本発明は、(1)二本鎖DNA認識配列の個々の塩基への配列特異的結合又は(2)二本鎖DNA分子のリン酸ジエステル骨格への配列非特異的結合に関与するメガヌクレアーゼ内の部位のアミノ酸残基を変化させた、合理的に設計されたLAGLIDADGメガヌクレアーゼを形成する方法を提供する。酵素活性はDNA結合親和性に相関するが、DNA認識配列への結合に関与するアミノ酸を変化させることによって、特異的な塩基対相互作用を介してメガヌクレアーゼの特異性を変化させることができるだけでなく、二本鎖DNAに対する全体的な結合親和性を上昇又は低下させることによってメガヌクレアーゼの活性も変化させることができる。同様に、DNA骨格への結合に関与するアミノ酸を変化させることによって、酵素の活性を変化させることができるだけでなく、二本鎖DNAに対する全体的な結合親和性を上昇又は低下させて認識配列への結合の特異性又は縮重度を変化させることができる。]
[0042] 以下に詳述するように、メガヌクレアーゼを合理的に設計する方法は、DNA認識/結合に関与するアミノ酸の同定、及び適切なアミノ酸変化を選択する一連の法則の適用を有する。メガヌクレアーゼ配列特異性に関して、該法則は、メガヌクレアーゼのアミノ酸側鎖とDNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の塩基との間のメガヌクレアーゼ‐DNA複合体の距離に関する立体的検討、及び該アミノ酸側鎖の官能基と関連位置の目的とするDNA塩基との間の非共有化学的相互作用に関する検討を有する。]
[0043] 最後に、ホモ二量体としてDNAを結合する天然のメガヌクレアーゼの大部分は、偽‐又は完全な回文認識配列を認識する。長い回文配列は稀であると考えられるので、目的のゲノム部位が回文配列である可能性は極めて低い。従って、これらの酵素を目的のゲノム部位を認識するように再設計する場合には、ヘテロ二量体化して非回文ハイブリッド認識配列を切断できる、異なる半部位を認識する2つの酵素単量体を設計する必要がある。従って、ある態様において、本発明は、少なくとも1つのアミノ酸位置が異なる単量体を二量体化してヘテロ二量体が形成されている、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを提供する。ある場合においては、非回文認識配列を認識するヘテロ二量体を作製するために両単量体が合理的に設計される。異なる2つの単量体の混合物は、メガヌクレアーゼ二量体の3つの活性型、すなわち、2つのホモ二量体と1つのヘテロ二量体を作製することができる。加えて、又は、代わりに、ある場合には、ホモ二量体又はヘテロ二量体が形成される可能性を高める又は低めるために、単量体が相互作用して二量体を形成しうる界面においてアミノ酸残基を変化させる。]
[0044] 従って、1つの態様において、本発明は、酵素の特異性及び/又は活性を変化させるようなアミノ酸の変化を有するLAGLIDADGメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法を提供する。他の態様においては、本発明は、これらの方法によって得られる合理的に設計されたメガヌクレアーゼを提供する。更に他の態様において、本発明は、生物のゲノム内の目的とするDNA配列又は遺伝子座が挿入、削除、置換又はDNA配列のその他の操作により改変されている組換え核酸及び生物を作製するために、そのように合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使用する方法を提供する。他の態様において、本発明は、病原体特異的又は癌特異的認識配列を有する合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使用して、病原体又は癌細胞の生存を抑制する方法を提供する。]
[0045] 1.2.参照及び定義
本発明及び本明細書に引用された科学文献は、当業者が利用できる知識を確立する。本明細書で引用された、GenBankデータベースを含め、米国特許、許可された出願、公開された外国出願及び引用文献は、それぞれを参照することにより具体的かつ個々に組み込まれたように、参照することによりそのまま本明細書に組み込まれる。]
[0046] 本明細書において、「メガヌクレアーゼ」とは、12塩基対以上の認識配列において二本鎖DNAを結合するエンドヌクレアーゼを指す。天然に存在するメガヌクレアーゼは単量体(すなわち、I‐SceI)でも、二量体(すなわち、I‐CreI)でもよい。本明細書において、メガヌクレアーゼは、単量体メガヌクレアーゼ、二量体メガヌクレアーゼ、又は二量体メガヌクレアーゼを形成する単量体を指すものとして使用することができる。]
[0047] 「ホーミングエンドヌクレアーゼ」とは、「メガヌクレアーゼ」と同義である。]
[0048] 本明細書において、「LAGLIDADGメガヌクレアーゼ」とは、天然の二量体である単一のLAGLIDADGモチーフを有するメガヌクレアーゼ又は天然の単量体である2つのLAGLIDADGモチーフを有するメガヌクレアーゼを指す。本明細書において、これら2つを区別する必要がある場合には、「モノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ」は単一のLAGLIDADGモチーフを有するメガヌクレアーゼを指し、「ジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ」は2つのLAGLIDADGモチーフを有するメガヌクレアーゼを指す。LAGLIDADGモチーフを有するジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼの2つの構造ドメインのそれぞれを、LAGLIDADGサブユニットと称する。]
[0049] 本明細書において、「合理的に設計された」とは、天然に存在しない及び/又は遺伝子操作されたことを意味する。本発明の合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、野生型又は天然に存在するメガヌクレアーゼとアミノ酸配列又は一次構造が異なっており、その二次、三次又は四次構造が異なっていてもよい。更に、本発明の合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、野生型又は天然に存在するメガヌクレアーゼとその認識配列の特異性及び/又は活性も異なっている。]
[0050] 本明細書において、タンパク質に関して「組換え」とは、該タンパク質をコードする核酸に遺伝子操作技術を適用して得られた改変されたアミノ酸配列を有すること、及び該タンパク質を発現する細胞又は生物を意味する。核酸に関して「組換え」とは、遺伝子操作技術を適用して得られた改変された核酸配列を有することを意味する。遺伝子操作技術は、これらに限定されないが、PCR及びDNAクローニング技術、トランスフェクション、形質転換及び他の遺伝子導入技術、相同的組換え技術、部位特異的変異誘発技術及び遺伝子融合を含む。この定義に従って、異種宿主でクローニング及び発現されたが、天然に存在するタンパク質と同一のアミノ酸配列を有するタンパク質は、組換え体とはみなされない。]
[0051] 本明細書において、組換えタンパク質に関して「改変」とは、参照配列(すなわち、野生型)と比較した場合の組換え配列のアミノ酸残基の挿入、削除又は置換のいずれかを意味する。]
[0052] 本明細書において、「遺伝子改変された」とは、細胞又は生物或いはその原細胞のゲノムDNA配列が計画的に組換え技術により改変されていることを言う。本明細書において、「遺伝子改変された」には「遺伝子組換えの」が包含される。]
[0053] 本明細書において、「野生型」とは、天然に存在するメガヌクレアーゼのいずれかの形状を指す。「野生型」とは、自然界の酵素の最も一般的な対立遺伝子変異体を意味するものではなく、むしろ自然界に見られるいずれかの対立遺伝子変異体を指す。野生型メガヌクレアーゼは、組換え又は天然に存在しないメガヌクレアーゼから区別される。]
[0054] 本明細書において、「認識配列半部位」又は単に「半部位」とは、モノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ又はジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼの1つのLAGLIDADGサブユニットにより認識される二本鎖DNA分子の核酸配列を意味する。]
[0055] 本明細書において、「認識配列」とは、モノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ二量体又はジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ単量体によって結合され切断された一対の半部位を指す。2つの半部位は、該酵素によって特異的に認識されない塩基対によって分離されても分離されなくてもよい。I‐CreI、I‐MsoI及びI‐CeuIの場合には、各単量体の認識配列半部位は9つの塩基対にわたり、2つの半部位は、特異的には認識されないが、(4塩基対突出部分を有する)実際の切断部位を構成する4つの塩基対により分離される。従って、I‐CreI、I‐MsoI及びI‐CeuIメガヌクレアーゼ二量体の結合された認識配列は、通常、4塩基対切断部位と上下流に隣接する2つの9塩基対半部位を有する、22塩基対にわたる。各半部位の塩基対は、−9から−1に指定され、−9の位置は切断部位から最も離れており、−1の位置はN1〜N4に指定される4つの中央塩基対に隣接する。−9から−1への方向(すなわち、切断部位に向かって)に5’から3’へ方向付けされている各半部位のストランドは「センス」鎖とされ、反対のストランドは「アンチセンス」鎖とされるが、どちらのストランドもタンパク質をコードしなくてもよい。従って、一つの半部位の「センス」鎖は、他方の半部位のアンチセンス鎖である。例えば、図1(A)を参照。ジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ単量体であるI−SceIメガヌクレアーゼの場合には、その認識配列はほぼ18塩基対の非回文配列であり、特異的に認識されない中央塩基対は存在しない。慣習により、2つのストランドの1つを「センス」鎖、他方を「アンチセンス」鎖と称するが、どちらのストランドもタンパク質をコードしなくてもよい。] 図1
[0056] 本明細書において、「特異性」とは、二本鎖DNA分子を、認識配列と称される塩基対の特定の配列のみ又は認識配列の特定の一組のみにおいて認識し、切断するメガヌクレアーゼの能力を意味する。認識配列の組は、ある保存位置又は配列モチーフを共有するが、1つ又は複数の位置で縮重されてよい。特異性の高いメガヌクレアーゼは1つ又は非常に数少ない認識配列のみを切断することができる。特異性は、実施例1に記載の切断アッセイにより決定することができる。本明細書において、メガヌクレアーゼが参照メガヌクレアーゼ(すなわち、野生型)を結合、切断されない認識配列を結合、切断するか、又は参照メガヌクレアーゼと比較して認識配列の切断率が統計的に有意に(p<0.05)増加又は低下している場合には、メガヌクレアーゼは「変化した」特異性を有する。]
[0057] 本明細書において、「縮重性」は「特異性」の逆の意味である。高縮重性メガヌクレアーゼは、多数の異なる認識配列を切断することができる。メガヌクレアーゼは、半部位内の単一位置又は複数、更には半部位の全ての位置に、配列の縮重を有することができる。そのような配列の縮重は、(i)メガヌクレアーゼのDNA結合ドメインのどのアミノ酸も、認識配列の1つ又は複数の位置のどの塩基とも特異的な接触を形成できない、(ii)メガヌクレアーゼのDNA結合ドメインの1つ又は複数のアミノ酸が、認識配列の1つ又は複数の位置で複数の塩基と特異的な接触を形成する、及び/又は(iii)活性のための十分な非特異的DNA結合親和性に起因する。「完全に」縮重である位置は、4つの塩基のいずれかが位置を占めるることができ、半部位では「N」を付けて指定される。「部分的に」縮重である位置は、4つの塩基の2つ又は3つのいずれかが位置を占めることができる(例えば、プリン(Pu)のいずれか、ピリミジン(Py)のいずれか、又はG以外)。]
[0058] 本明細書において、メガヌクレアーゼに関して、「DNA結合親和性」又は「結合親和性」とは、メガヌクレアーゼにおける参照DNA分子(例えば、認識配列又は任意の配列)との非共有的関与の傾向を意味する。結合親和性は、解離定数KD(例えば、WT認識配列に対するI‐CreIのKDは約0.1nMである)により測定される。本明細書において、参照認識配列に対する組換えメガヌクレアーゼのKDが参照メガヌクレアーゼと比較して統計的に有意に(p<0.05)増加又は低下している場合には、メガヌクレアーゼは「変化した」結合親和性を有する。]
[0059] 本明細書において、メガヌクレアーゼ単量体に関して、「二量体形成に対する親和性」とは、メガヌクレアーゼ単量体における参照メガヌクレアーゼ単量体との非共有的関与の傾向を意味する。二量体形成に対する親和性は、参照野生型メガヌクレアーゼと同様に、同じ単量体(すなわち、ホモ二量体形成)を使って又は異なる単量体(すなわち、ヘテロ二量体形成)を使って測定することができる。結合親和性は解離定数KDにより測定される。本明細書において、参照メガヌクレアーゼ単量体に対する組換えメガヌクレアーゼ単量体のKDが参照メガヌクレアーゼ単量体と比較して統計的に有意に(p<0.05)増加又は低下している場合には、メガヌクレアーゼは二量体形成に対して「変化した」親和性を有する。]
[0060] 本明細書において、「回文」とは、同一の半部位の逆方向の繰り返しからなる認識配列を指すが、この場合、回文配列は、酵素に接触しない4つの中央塩基対については回文的である必要はない。二量体のメガヌクレアーゼの場合には、回文DNA配列は、2つの単量体が同一の半部位に対して接触を形成するホモ二量体により認識される。]
[0061] 本明細書において、「偽回文」とは、同一でない又は不完全な回文配列の半部位の逆方向の繰り返しからなる認識配列を指す。この場合、偽回文配列は、4つの中央塩基対に対して回文的である必要がないだけでなく、2つの半部位間の回文配列から逸脱してもよい。偽回文DNA配列は、2つの同一の酵素単量体が異なる半部位に接触を形成する野生型ホモ二量体メガヌクレアーゼにより認識される、典型的な天然DNA部位である。]
[0062] 本明細書において、「非回文」とは、メガヌクレアーゼの2つの無関係な半部位からなる認識配列を指す。この場合、非回文配列は、4つの中央塩基対又は2つの単量体半部位のいずれに関しても回文的である必要はない。非回文DNA配列は、ジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ又は高縮重モノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ(例えば、I‐CeuI)のいずれかにより、又は同一でない半部位を認識するモノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ単量体のヘテロ二量体により認識される。]
[0063] 本明細書において、「活性」とは、本発明のメガヌクレアーゼが特定の認識配列を切断する速度を指す。そのような活性は、二本鎖DNAのリン酸ジエステル結合の加水分解を含む、測定可能な酵素反応である。特定のDNA基質に作用するメガヌクレアーゼの活性は、特定のDNA基質に対するメガヌクレアーゼの親和性又は結合力に影響され、これは、同様に、DNAとの配列特異的及び配列非特異的相互作用により影響される。]
[0064] 本明細書において、「相同的組換え」とは、二本鎖DNA切断が相同DNA配列を修復鋳型として使用して修復される自然の細胞工程を指す(例えば、Cahillら, (2006), Front. Biosci. 11: 1958-1976参照)。相同DNA配列は、内因性染色体配列であっても、細胞に搬送された外因性核酸であってもよい。従って、ある実施形態においては、合理的に設計されたメガヌクレアーゼが標的配列内で認識配列を切断するために使用され、該標的配列に相同又は実質的に配列相似性を有する外因性核酸は細胞内に搬送されて相同的組換えによる修復の鋳型として使用される。結果として、標的配列と著しく異なってもよい外因性核酸のDNA配列は、染色体配列に取り込まれる。相同的組換えの工程は主として真核生物で起こる。本明細書では、「相同」は「配列相似性」と同義に使用され、系統的又は系統発生学的な同系性に基づく同一性を求めるものではない。]
[0065] 本明細書において、「非相同的末端結合」とは、二本鎖DNA切断が2つの非相同DNAセグメントの直接連結により修復される自然の細胞工程を指す(例えば、Cahillら, (2006), Front. Biosci. 11: 1958-1976参照)。非相同的末端結合によるDNA修復は、誤りが起こりやすく、修復部位でのDNA配列の非鋳型付加又は欠失が頻繁に起こる。従って、ある実施形態では、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使用して標的配列内のメガヌクレアーゼ認識配列に二本鎖切断を作成し、非相同的末端結合により遺伝子破壊(例えば、塩基挿入、塩基欠失又はフレームシフト変異の導入)することができる。他の実施形態では、メガヌクレアーゼの刺激により切断された二本鎖DNA切断位置に、標的配列に相同性又は実質的な配列相似性を有さない外因性核酸を非相同的末端結合により捕捉してもよい(例えば、Salomonら, (1998),EMBO J. 17: 6086-6095参照)。非相同的末端結合の工程は、真核生物及びバクテリアなどの原核生物の両者で起こる。]
[0066] 本明細書において、「目的の配列」とは、タンパク質、RNA又は調節エレメント(例えば、エンハンサー、サイレンサー又はプロモーター配列)をコードしているかにかかわらず、メガヌクレアーゼタンパク質を使用してゲノムに挿入できる又はゲノムDNA配列との置換に使用できる核酸配列、を意味する。目的の配列は、目的の配列から発現されるタンパク質又はRNAに印を付けるための異種DNA配列を有することができる。例えば、タンパク質は、これらに限定されないが、エピトープ(例えば、C‐mycやFLAG)又は他のリガンド(例えば、ポリHis)を有する標識でタグ付けされることができる。更に、目的の配列は、本技術分野で公知の技術に従って、融合タンパク質をコードすることもできる(例えば、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley 1999参照)。ある実施形態においては、目的の配列には、組換えメガヌクレアーゼにより認識されるDNA配列が切断のために隣接する。それにより、隣接する配列が切断され、組換えメガヌクレアーゼによって切断されたゲノム認識配列内に目的の配列が適切に挿入される。いくつか実施形態においては、相同的組換えにより標的配列が目的の配列で効果的に置換されるように、目的の全配列がゲノムの標的配列と相同であるか又は実質的に配列相似性を有する。他の実施形態では、相同的組換えにより目的の配列をゲノム内で標的配列の遺伝子座に挿入できるように、目的の配列は標的配列と相同性又は実質的な配列相似性を有するDNA配列に隣接される。ある実施形態では、メガヌクレアーゼが目的の配列により改変された後に標的配列を切断できないように、目的の配列は、メガヌクレアーゼ認識配列内の変異又は他の改変を除く標的配列に実質的に同一である。]
[0067] 本明細書において、アミノ酸配列と核酸配列とに関して、「相似率」及び「配列相似性」とは、配列されたアミノ酸残基の間又はヌクレオチドの間の相似性を最大にする配列のアラインメントに基づく2つの配列の相似度を指し、同一又は類似の残基又はヌクレオチドの数、全残基又はヌクレオチドの数及び配列アラインメント内のギャップの存在及び長さの関数である。標準パラメータを使用して配列相似性を決定するための様々なアルゴリズム及びコンピュータプログラムがある。本明細書においては、配列相似性について、アミノ酸配列についてはBLASTpプログラムを、核酸配列についてはBLASTnプログラムを使用して測定した。これらのプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(the National Center for Biotechnology Information (www.ncbi.nlm.nih.gov/))を通して利用可能であり、例えば、Altschulら, (1990), J. MoL. Biol. 215: 403-410; Gish and States (1993), Nature Genet. 3: 266-272; Maddenら, (1996), Meth. Enzymol. 266: 131-141; Altschulら, (1997), Nucleic AcidsRes. 25: 33 89-3402; Zhangら, (2000), J. Comput. Biol. 7(l-2): 203-14に記載されている。本明細書において、2つのアミノ酸配列の相似率は、次のBLASTpアルゴリズムのパラメータに基づくスコアである。ワードサイズ=3、ギャップオープニングペナルティ=−11、ギャップエクステンションペナルティ=−1及びスコアマトリックス=BLOSUM62。本明細書において、2つの核酸配列の相似率は、次のBLASTnアルゴリズムのパラメータに基づくスコアである。ワードサイズ=11、ギャップオープニングペナルティ=−5、ギャップエクステンションペナルティ=−2、マッチリワード=1及びミスマッチペナルティ=−3。]
[0068] 本明細書において、2つのタンパク質又はアミノ酸配列の改変に関して、「対応する」とは、2つのタンパク質の標準配列アラインメントを(例えば、BLASTpプログラムを使用して)実行した場合に、第1のタンパク質の特定の改変が第2のタンパク質の改変と同じアミノ酸残基の置換であり、第1のタンパク質の改変のアミノ酸位置が第2のタンパク質の改変のアミノ酸位置に対応するか又は一致することを示すために使用される。従って、残基XとYが互いに配列アラインメントにおいて対応する場合、XとYが異なる順位であるかもしれないという事実に係わらず、第1タンパク質の残基「X」のアミノ酸「A」への改変は、第2のタンパク質の残基「Y」のアミノ酸「A」への改変に対応する。]
[0069] 本明細書において、変数の数値範囲の記述は、本発明がその範囲内の値のいずれかに等しい変数で実行されるということを表明するものである。従って、本質的に不連続な変数では、変数は範囲の終点を含む数値範囲内の整数値いずれかに等しくできる。同様に、本質的に連続する変数では、変数は範囲の終点を含む数値範囲内の実際の値いずれかに等しくできる。一つの例として、限定されるものではないが、0と2の間の値を有するとして記載される変数は、本質的に不連続な変数では0、1又は2の値をとることができ、本質的に連続する変数では0.0、0.1、0.01、0.001又は>0及び≦2の範囲の他の実際の値のいずれかをとることができる。]
[0070] 本明細書において、特に断らない限り、「又は」は、「及び/又は」の包括的な意味に使用され、「二者択一」の排他的な意味ではない。]
[0071] 2.1.変異された配列特異性を有する、合理的に設計されたメガヌクレアーゼ
本発明の1つの態様において、組換えLAGLIDADGファミリーメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法が提供される。この態様において、組換えメガヌクレアーゼは、まず、半部位の各位置における塩基優先順位を変えることができるアミノ酸置換を予測することによって合理的に設計される。これらの置換は個別に、又は所望の切断特異性を有するメガヌクレアーゼの作製と合わせて、実験的に確認することができる。]
[0072] 本発明に従って、所望の塩基優先順位に変えることができるアミノ酸置換は、メガヌクレアーゼのDNA認識配列及びDNAリン酸ジエステル骨格の核酸塩基との接触に関与できる参照メガヌクレアーゼ(例えば、野生型メガヌクレアーゼ又は天然に存在しない参照メガヌクレアーゼ)のアミノ酸側鎖、及びそれらの接触の空間的及び化学的特質を決定することにより予測される。これらのアミノ酸には、限定されるものではないが、参照DNA半部位の接触に関与する側鎖が含まれる。一般に、この決定には、メガヌクレアーゼとその二本鎖DNA認識配列との間の複合体の構造に関する知識、又は高類似複合体(例えば、同じメガヌクレアーゼと別のDNA認識配列間又はメガヌクレアーゼの対立遺伝子又は系統発生的変異体とそのDNA認識配列間)の構造に関する知識を有する必要がある。]
[0073] 原子座標データにより説明されるように、ポリペプチド又は2つ以上のポリペプチドの複合体の三次元構造は、いくつかの方法により得ることができる。例えば、タンパク質の構造は、それらに限定されないが、X線結晶学、NMR及び質量分析を含む技術により決定することができる。他のアプローチとしては、既存の目的のメガヌクレアーゼ又は関連するメガヌクレアーゼの構造座標のデータ分析がある。そのような構造データは、三次元座標の形でデータベースから取得できることも多く、大抵、オンラインデータベースを通じてアクセスできるデータである(例えば、RCSBタンパク質データバンク:www.rcsb.org/pdb)。]
[0074] 構造情報は、タンパク質又はタンパク質複合体の規則的な二次元又は三次元配列(例えば、結晶)により形成される、例えば、X線又は電子の回折パターンを分析することにより実験的に得ることができる。回折データの空間での三次元原子座標への変換には、コンピュータによる方法が使用される。例えば、メガヌクレアーゼを含む多くのタンパク質‐DNA複合体に関する三次元構造情報を作成するためにX線結晶学分野が使用されている(例えば、Chevalierら, (2001), Nucleic AcidsRes. 29(18): 3757-3774参照)。]
[0075] 核磁気共鳴(NMR)もまた溶液中の分子の原子間距離を決定するために使用されている。コンピュータによる方法と組み合わせた多次元NMR法は、大きなポリペプチドの原子座標の決定に成功している(例えば、Tzakosら, (2006), Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 35: 19-42参照)。]
[0076] 或いは、コンピュータによるモデリングは、アミノ酸側鎖、核酸塩基及び結合相互作用の既知の生理化学的特性と同様、タンパク質/DNAの既知一次構造、可能である場合には、二次、三次及び/又は四次構造に基づくアルゴリズムを適用して使用することができる。そのような方法は、相互作用的アプローチ又は実験的に導出された制約を任意に包含することもできる。そのようなコンピュータソフトウェアの1つの例が、Adamsら, (1999), Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 55 (Pt 1): 181-90に記載のCNSプログラムである。その他にも、タンパク質構造中のアミノ酸の空間的配置を予測し、様々な標的分子との該タンパク質のアミノ酸側鎖の相互作用を予測するコンピュータプログラムが多種開発されている(例えば、米国特許第6,988,041号参照)。]
[0077] 従って、本発明のある実施形態では、コンピュータによるモデリングにより、DNA核酸塩基と特異的に相互作用する及び/又は非特異的リン酸ジエステル骨格相互作用を促進する特定のアミノ酸残基を同定する。例えば、メガヌクレアーゼ‐DNA相互作用ポテンシャルの全体についてのコンピュータモデルは、これらに限定されないが、MOLSCRIPTTM2.0(Avatar Software AB、ストックホルム、スウェーデン)、グラフィカルディスプレイプログラムO(Jonesら, (1991), Acta Crystallography, A47: 110)、グラフィカルディスプレイプログラムGRASPTM(Nichollsら, (1991), PROTEINS, Structure, Function and Genetics 11(4): 281ff)又はグラフィカルディスプレイプログラムINSIGHTTM(TSI, Inc., Shoreview,ミネソタ)を含む適当なソフトウェアプログラムを使用して作成できる。タンパク質‐DNA複合体の三次元構造の描写を作成、表示、操作するコンピュータハードウェアは市販されており、本技術分野で周知である(例えば、Silicon Graphics Workstation, Silicon Graphics, Inc., Mountainview,カリフォルニア)。]
[0078] 具体的には、メガヌクレアーゼとその二本鎖DNA認識配列との相互作用は、本技術分野で公知の方法により決定することができる。例えば、結晶が作製された多成分複合体構造の三次元構造の描写又はモデルは、分子置換又はSIR/MIR(単一/多重同形置換)を含む方法を使用して決定することが可能であり(例えば、Brunger (1997), Meth. Enzym. 276: 558-580; Navaza及びSaludjian (1997), Meth. Enzym. 276: 581-594; Tong及びRossmann (1997), Meth. Enzym. 276: 594-611; 及びBentley (1997), Meth. Enzym. 276: 611-619参照)、AMoRe/Mosflm(Navaza (1994), Acta Cryst. A50: 157-163; CCP4 (1994), Acta Cryst. D50: 760-763)又はXPLOR(Brungerら, (1992), X-PLOR Version 3.1. A System for X-ray Crystallography and NMR, Yale University Press, New Haven, CT参照)などのソフトウェアプログラムを使用して行うことできる。]
[0079] タンパク質構造及びメガヌクレアーゼ‐DNA相互作用ポテンシャルを決定することにより、酵素活性及び特異性に影響を与えるような変化を受けるアミノ酸について合理的な選択が可能になる。決定は、特定の塩基又はDNAリン酸ジエステル骨格と相互作用するアミノ酸側鎖に関するいくつかの因子に基づいてなされる。適切なアミノ酸置換を決定するために使用される化学的相互作用には、それらに制限されないが、ファンデルワールス力、立体障害、イオン結合、水素結合及び疎水性相互作用が包含される。アミノ酸置換は、潜在的認識配列半部位内の特定の塩基とのメガヌクレアーゼの特異的な相互作用が、配列に対する特異性及び結合親和性及び活性全体をある程度まで上昇又は低下させるために、有利か不利かによって選択することができる。また、アミノ酸置換は、活性全体を上昇又は低下させ及び特異性をある程度まで低下又は上昇させるために、二本鎖DNAのリン酸ジエステル骨格に対する結合親和性を上昇又は低下させるかによって選択することができる。]
[0080] 従って、特定の実施形態において、メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造が決定され、「接触表面」がDNA認識配列半部位の各塩基対に対して定義される。ある実施形態においては、接触表面は、塩基対の一方の塩基上の主溝水素結合供与体又は受容体から9Å未満のβ炭素を有し、野生型メガヌクレアーゼ-DNA複合体に塩基接触を形成する残基であるか否かにかかわりなく、DNA志向性の側鎖を有する酵素内のアミノ酸からなる。他の実施形態では、野生型メガヌクレアーゼ‐DNA複合体に接触しない残基は除外することができ、また、検討される残基の数又は同一性を変化させるために設計者の自由裁量で残基を含有又は除外できる。一つの例として、後述するように、野生型I‐CreI半部位の−2、−7、−8及び−9塩基位置に対して、接触表面は野生型酵素‐DNA複合体で実際に相互反応するアミノ酸位置に限定されたが、−1、−3、−4、−5及び−6位置に対しては、接触表面は、野生型接触に関与しないが、別のアミノ酸と置換された場合に塩基と接触する可能性のある別のアミノ酸位置を含有するように定義された。]
[0081] 注目すべきは、認識配列半部位は、通常、DNAの一方のストランドのみに関して表されるが、メガヌクレアーゼは二本鎖DNAの主溝に結合し、両ストランドの核酸塩基に接触するということである。更に、「センス」及び「アンチセンス」鎖の指定はメガヌクレアーゼの結合及び認識に関して完全に任意である。ある位置での配列特異性は、塩基対の1つのメンバーとの相互作用を介して、又は塩基対の両メンバーとの相互作用の組み合わせによって達成される。従って、例えば、X位置における、A塩基が「センス」鎖、T塩基が「アンチセンス」鎖である、A/T塩基対の存在が有利であるためには、残基はX位置のセンスに接触するために十分に近接し、Aの存在を好むものが選択され、及び/又は、残基はX位置のアンチセンスに接触するために十分に近接し、Tの存在を好むものが選択される。本発明に従って、残基のβ炭素が関連する塩基の最も近い原子から9Å未満にある場合には、該残基は十分に近いと判断される。]
[0082] 従って、例えば、DNAセンス鎖の9Å未満にβ炭素を有するが、アンチセンサ鎖から9Åを超えるアミノ酸は、センス鎖のみと相互作用する可能性があると判断される。同様に、DNAアンチセンス鎖の9Å未満にβ炭素を有するが、センサ鎖から9Åを超えるアミノ酸は、アンチセンス鎖のみと相互作用する可能性があると判断される。DNAの両ストランドから9Å未満にβ炭素を有するアミノ酸は、両ストランドと相互作用する可能性があると判断される。]
[0083] 各接触表面に対して、潜在的アミノ酸置換は、4つのDNA塩基の1つ又は複数と有利に相互作用する能力の予測に基づいて選択される。選択工程は2つの主要な基準、(i)別の核酸塩基との立体的相互作用に影響するアミノ酸側鎖の大きさ、及び(ii)他の核酸塩基との静電気的及び結合相互作用に影響するアミノ酸側鎖の化学的特性、に基づく。]
[0084] 側鎖の大きさに関して、接触表面のアミノ酸β炭素が塩基から<6Åである場合には、より短く及び/又はより小さい側鎖を有するアミノ酸を選択することができ、接触表面のアミノ酸β炭素が塩基から>6Åである場合には、より長く及び/又はより大きい側鎖を有するアミノ酸を選択することができる。接触表面のアミノ酸β炭素が塩基から5〜8Åである場合には、中程度の大きさの側鎖を有するアミノ酸を選択することができる。]
[0085] 比較的短く、小さい側鎖を有するアミノ酸は1群に割り当てられ、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)およびプロリン(P)が含まれるが、プロリンは比較的柔軟性に乏しいので、使用されることは稀であると思われる。また、グリシンはペプチド骨格に望ましくない柔軟性を導入し、その非常に小さい大きさのために大きな残基を置換する際に有効な接触の可能性を下げてしまうので、使用されることは稀であると思われるが、一方で、グリシンは縮重位置を作っていく場合に使用することができる。比較的中程度の長さと大きさの側鎖を有するアミノ酸は2群に割り当てられ、リジン(K)、メチオニン(M)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)及びグルタミン(Q)が含まれる。比較的長く、大きな側鎖を有するアミノ酸は3群に割り当てられ、リジン(K)、メチオニン(M)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)が含まれるが、トリプトファンは比較的柔軟性に乏しいので、使用されることは稀であると思われる。また、リジン、アルギニン及びメチオニンはその側鎖の柔軟性により長い又は中程度の距離から塩基接触するので、これらのアミノ酸は2及び3群の両群に包含される。これらの群を表形式で以下に示す。]
[0086] 側鎖の化学的特性に関して、異なる核酸塩基との相互作用ポテンシャルについて異なるアミノ酸を評価し(例えば、ファンデルワールス力、イオン結合、水素結合及び疎水性相互作用)、二本鎖DNA認識配列半部位の特定の位置の特定の塩基とのメガヌクレアーゼの特異的な相互作用を好むか又は嫌う残基が選択される。ある場合には、1つ又は複数の完全又は部分的縮重位置を有する半部位を形成することが望ましい。そのような場合、2つ又はそれ以上の塩基の存在を好む残基を選んでもよく、又は1つ又は複数の塩基を嫌う残基を選んでもよい。例えば、部分的縮重塩基認識は、センス又はアンチセンス位置のピリミジンの立体障害により達成される。]
[0087] グアニン(G)塩基は、塩基のN7及びO6への水素結合を形成する塩基側鎖を有するアミノ酸を使用して認識することができる。シトシン(C)の特異性は、C以外の全ての塩基に存在する主溝の電気陰性基と不利に相互作用する負荷電の側鎖により与えられる。チミン(T)認識は、塩基の疎水性側鎖と主溝メチル基との間の疎水性及びファンデルワールス相互作用を使用して合理的に設計される。最後に、アデニン(A)塩基は、塩基のN7とN6に一対の水素結合を介して、カルボキサミド側鎖であるAsnとGln又はヒドロキシ側鎖であるTyrを使用して認識される。最終的に、Hisは、N7に水素結合を供与することによって、プリン塩基(A又はG)に対する特異性を与えるために使用することができる。これらDNA認識に対する直接の法則は、特定の塩基対位置における塩基の1つ又は両者が合理的に設計された接触を介して認められる接触表面の予測に適用できる。]
[0088] 従って、異なる核酸塩基との結合相互作用及び接触が形成される位置において好まれる塩基に基づいて、各アミノ酸残基はそれが好む塩基(すなわち、G、C、T又はA)それぞれに対応して1つ又は複数の異なる群に割り当てることができる。従って、G群はアルギニン(R)、リジン(K)及びヒスチジン(H)を含み、C群はアスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)を含み、T群はアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、システイン(C)、スレオニン(T)、メチオニン(M)及びフェニルアラニン(F)を含み、A群はアスパラギン(N)、グルタミン(N)、チロシン(Y)及びヒスチジン(H)を含む。ここで留意すべきは、ヒスチジンはG群及びA群の両群に割り当てられ、セリン(S)はどの群にも含まれないが、縮重位置を支持するために使用されてもよく、更にプロリン、グリシン及びトリプトファンはその顕著な立体的理由によりどの特定の群にも含まれないことである。これらの群を表形式で以下に示す。]
[0089] 従って、本発明に従って、所定の位置Xにおいてメガヌクレアーゼの認識配列半部位に所望の変化をもたらすためには、(1)少なくとも野生型又は参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造に関連する箇所及び位置Xで接触表面を定義するアミノ酸残基側鎖を決め、(2)接触表面を有する少なくとも1つの残基のβ炭素と位置Xの塩基対の少なくとも1つの塩基との間の距離を決定し、(3)(a)塩基から<6Åである残基に対しては、所望の変化を促進するためにG群、C群、T群又はA群の適切な1つのメンバーである1群及び/又は2群から残基を選択し、及び/又は(b)塩基から>6Åである残基に対しては、所望の変化を促進するためにG群、C群、T群又はA群の適切な1つのメンバーである2群及び/又は3群から残基を選択する。接触表面を有するそのような残基の1つ以上を分析のために選択し、改変することができ、ある実施形態では、その残基のそれぞれを分析し、複数の残基を改変する。同様に、接触表面に含まれる残基のβ炭素とX位置の塩基対の2つの塩基のそれぞれとの距離を測定することができ、残基が両塩基の9Å未満である場合には、塩基対の両塩基に影響を与える異なる置換が可能である(例えば、一方のストランド上の近位の塩基に影響を与えるための1群からの残基、又は他方のストランドの遠位の塩基に影響を与えるための3群からの塩基)。或いは、塩基対の両塩基と相互作用することができる残基置換の組み合わせは特異性に影響を与えることができる(例えば、T/Aに対して選択するため、アンチセンス鎖に接触するA群からの残基と結合するセンス鎖に接触するT群からの残基)。最後に、残基の複数の代替改変は、経験的に(例えば、組換えメガヌクレアーゼの作製及びその配列認識の試験による)またはコンピュータにより(例えば、改変酵素のメガヌクレアーゼ‐DNA複合体のコンピュータモデリングにより)実証して、代替から選択できる。]
[0090] 一旦、野生型又は参照メガヌクレアーゼの1つ又は複数の所望のアミノ酸改変が選択されると、合理的に設計されたメガヌクレアーゼは本技術分野で周知の組換え方法及び技術により作製することができる。ある実施形態では、非ランダムな又は部位特異的な変異誘発技術により特異的な配列変異を作成する。非ランダムな変異誘発技術の非制限的な例として、重複プライマーPCR(例えば、Wangら, (2006), Nucleic AcidsRes. 34(2): 517-527参照)、部位特異的変異誘発(例えば、米国特許第7,041,814号参照)、カセット変異誘発(例えば、米国特許第7,041,814参照)及びプロメガバイオサイエンス社(Promega Biosciences, Inc.)から入手可能なAltered Sites(登録商標)II Mutagenesis Systemsキット(San Luis Obispo,カリフォルニア)の製造者プロトコールを挙げることができる。]
[0091] 合理的に設計されたメガヌクレアーゼによる特定のDNA配列の認識及び切断は、当業者に公知のいずれかの方法により測定できる(例えば、米国特許公開第2006/0078552号参照)。ある実施形態では、メガヌクレアーゼ切断の決定は、インビトロ切断アッセイにより測定される。そのような測定法は、測定されたメガヌクレアーゼの目的認識配列を含むポリヌクレオチド基質のインビトロ切断を利用し、ある実施形態では、半部位の一方又は両方の1つ又は複数の塩基が別の塩基に変化した目的の認識配列の変異を利用する。典型的には、ポリヌクレオチド基質は、合成しベクターにクローン化した標的部位を有する二本鎖DNA分子である。ポリヌクレオチド基質は線状又は環状であり、典型的には1つの認識配列のみを有する。メガヌクレアーゼは適切な条件下にポリヌクレオチド基質とインキュベートし、得られたポリヌクレオチドを切断生成物を同定する既知の方法(例えば、電気泳動又はクロマトグラフィー)により分析する。線状の二本鎖DNA基質が単一の認識配列を有する場合、メガヌクレアーゼ活性は2つのバンド(生成物)の出現と最初の全長基質バンドの消失により検出される。ひとつの実施形態において、メガヌクレアーゼ活性は、例えば、Wangら, (1997), Nucleic Acid Res., 25: 3767-3776に記載の方法により測定できる。]
[0092] 他の実施形態では、メガヌクレアーゼの切断パターンはインビトロ切断アッセイ(例えば、米国特許公開第2006/0078552号参照)を利用して決定される。特定の実施形態では、インビトロ試験は、一本鎖アニーリング組換試験(SSA)である。この種の試験は当業者に公知である(Rudinら, (1989), Genetics 122: 519-534及びFishman-Lobellら, (1992), Science 258: 480-4)。]
[0093] 当業者に明らかなように、活性を完全に喪失することなく、DNAの認識及び結合に関与しているドメイン以外のヌクレアーゼ酵素のドメインに追加のアミノ酸置換、挿入、削除を行うことができる。置換は、構造的又は機能的に制約された位置に類似のアミノ酸残基を保存的に置換するか、構造的又は機能的な制約の低い位置に非保存的な置換を行う。そのような置換、挿入、削除は、当業者であれば努力することなく日常の実験により同定することができる。従って、ある実施形態では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、参照メガヌクレアーゼ配列に対していずれにしても85%から99%の配列相似性(例えば、85%、87.5%、90%、92.5%、95%、97.5%、99%)を有するタンパク質を包含する。野生型I‐CreI、I‐MsoI、I‐SceI及びI‐CeuIタンパク質のそれぞれに関して、ほとんどのN末端およびC末端配列がX線結晶学研究ではっきりと分っていない。これはこれらの位置が構造的又は機能的な制約を受けていないことを示唆する。従って、これらの残基は配列相似性の計算から除外することができ、以下の参照メガヌクレアーゼ配列を使用することができる。すなわち、配列番号:1:I‐CreIの2〜153残基、配列番号:6:I‐MsoIの6〜160残基、配列番号:9:I‐SceIの3〜186残基及び配列番号:12:I‐CeuIの5〜211残基。]
[0094] 2.2.LAGLIDADGファミリーメガヌクレアーゼ
LAGLIDADGメガヌクレアーゼファミリーは、宿主生物の様々な系統発生的グループからの200以上のメンバーからなる。このファミリーの全てのメンバーは、特定のDNA配列の切断に関与している他の構造モチーフに加えて、高保存LAGLIDADGモチーフを1つ又は2つ有している。このモチーフを2つ有する酵素(すなわち、ジ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ)は単量体として機能するのに対して、単一のLAGLIDADGモチーフを有する酵素(すなわち、モノ‐LAGLIDADGメガヌクレアーゼ)は二量体として機能する。]
[0095] 全てのLAGLIDADGファミリーメンバーは、比較的長い配列(>12pb)を認識し、4つのヌクレオチド3’突出部を残して切断する。これらの酵素はまた、LAGLIDADGモチーフに加え、タンパク質‐DNA界面の逆平行βストランドの類似配列を含む多数の構造モチーフを共有する。これらの保存構造モチーフ内のアミノ酸は、DNA塩基との相互作用に関与して認識配列の特異性を与える。ファミリーのメンバー間(例えば、I−CreI、I−MsoI、I−SceI及びI−CeuI)の全体的な構造相似性はX線結晶学により解明されている。従って、このファミリーのメンバーはこれら構造モチーフ内の特定のアミノ酸を改変して、酵素の全体としての活性又は配列特異性を変えることが可能であり、対応する改変は他のファミリーメンバーにも同様な結果を与えると合理的に期待できる。一般的に、Chevalierら, (2001), Nucleic Acid Res. 29(18): 3757-3774参照)。]
[0096] 2.2.1.I−CreI由来のメガヌクレアーゼ
一つの態様において、本発明はコナミドリムシのI−CreIメガヌクレアーゼに基づく又は由来の合理的に設計されたメガヌクレアーゼに関する。I−CreIメガヌクレアーゼの野生型アミノ酸配列を配列番号:1に示す。これはGenbankアクセッション番号PO5725に対応する。結晶構造PDB番号1BP7から、下記の野生型I‐CreIメガヌクレアーゼの2つの認識配列半部位が知られている。
位置 -9-8-7-6-5-4-3-2-1
5'-G A A A C T G T C T C A C G A C G T T T T G-3' 配列番号:2
3'-C T T T G A C A G A G T G C T G C A A A A C-5' 配列番号:3
位置 -1-2-3-4-5-6-7-8-9
ここで留意すべきことは、中央の4塩基対以外でも、この天然の認識配列は完全な回文配列ではないことである。2つの認識配列半部位はそれぞれのセンス鎖上に太字で示されている。]
[0097] 野生型I‐CreIもまた、以下の(中央のN1〜N4塩基を除いて)完全な回文配列を認識し、切断する。
位置 -9-8-7-6-5-4-3-2-1
5'-C A A A C T G T C G T G A G A C A G T T T G-3' 配列番号:4
3'-G T T T G A C A G C A C T C T G T C A A A C-5' 配列番号:5
位置 -1-2-3-4-5-6-7-8-9
配列番号:4及び配列番号:5の回文配列は、この部位に酵素が高親和性で結合し、天然のDNA配列よりも効果的に切断するので、野生型I‐CreIの基質としてより適していると考えられる。以下の開示の目的のために、また特に本明細書に記載の実験結果に関して、野生型I‐CreIにより切断されたこの回文配列は「WT」と称される(例えば、図2(A)参照)。2つの認識配列半部位はそれぞれのセンス鎖内に太字で示されている。] 図2
[0098] 図1(A)は野生型I‐CreIメガヌクレアーゼホモ二量体と二本鎖DNA認識配列との相互作用を表しており、図1(B)は野生型酵素の1つの半部位と野生型認識配列の−4位置における酵素のアミノ酸残基と塩基との間の特異的な相互作用を示し、図1(C)〜(E)は、半部位の−4位置で特異性が改変されている本発明の3つの合理的に設計されたメガヌクレアーゼについて、1つの半部位の−4位置での酵素のアミノ酸残基と塩基との特異的な相互作用を示している。] 図1
[0099] 半部位のいずれかの特定の塩基位置での塩基の優先性は、本明細書に開示されている方法を使って他の3つの塩基対のそれぞれに対して合理的に変えることができる。まず、特定の塩基位置での野生型認識表面を(例えば、メガヌクレアーゼ‐DNA複合体共結晶構造の解析、又はメガヌクレアーゼ-DNA複合体のコンピュータモデリングにより)決定する。次に、存在する及び潜在する接触残基を、アミノ酸位置の周りのβ炭素と特定の塩基位置での各DNA鎖上の核酸塩基との間の距離に基づいて決定する。例えば、限定するものではないが、図1(A)に示されるように、−4位置のI‐CreI野生型メガヌクレアーゼ‐DNA接触残基はアンチセンスDNA鎖上のAに結合する位置28にグルタミンを有する。残基77はまた、センスDNA鎖の−4塩基に接触できる可能性を有するとして同定される。残基26のβ炭素は、アンチセンスDNA鎖の塩基AのN7から5.9Å離れている。残基77のβ炭素は、センス鎖上のTのC5‐メチルから7.15Å離れている。この距離と本明細書に記載されている化学的規定に従って、センス鎖のCは77位置でグルタミン酸と水素結合し、アンチセンス鎖のGは26位置で(野生型I−CreI結晶構造に見られるように、水分子に介在されて)グルタミンと結合できた(図1(C)参照)。センス鎖のGは77位置でアルギニンと水素結合し、アンチセンス鎖のCは26位置でグルタミン酸と水素結合できた(図1(D)参照)。センス鎖のAは77位置でグルタミンと水素結合し、アンチセンス鎖のTは26位置でアラニンと疎水性接触を形成できた(図1(E)参照)。塩基特異的接触が77位置に形成されると、野生型接触Q26を(例えば、セリン残基に)置換してその特異性に対する影響を低下又は除くことができる。或いは、26と77位置で相補的変異を特定の塩基対を特定するために組み合わせることができる(例えば、A26はアンチセンス鎖上のTを特定し、Q77はセンス鎖上のAを特定する(図1(E))。これらの予測残基置換は全て実験的に確認された。] 図1
[0100] 従って、本発明に従って、I‐CreIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインへのアミノ酸改変の実質的な数が同定され、単独又は組み合わせて、これらの合理的に設計されたメガヌクレアーゼが野生型酵素と異なる半部位を有するように、DNA認識配列半部位内の個々の塩基で変化させた特異性を有する組換えメガヌクレアーゼを得た。I‐CreIのアミノ酸の改変及び認識配列半部位の特異性における変化を表1に示す。]
[0101] ]
[0102] 2.2.2.I−MsoI由来のメガヌクレアーゼ
他の態様において、本発明はプラシノ藻のI−MsoIメガヌクレアーゼに基づく又は由来する合理的に設計されたメガヌクレアーゼに関連する。I−MsoIメガヌクレアーゼの野生型アミノ酸配列を配列番号:6に示す。これはGenbankアクセッション番号AAL34387に対応する。結晶構造PDB番号1M5Xから、下記の野生型I−MsoIメガヌクレアーゼの2つの認識配列半部位が示される。
位置 -9-8-7-6-5-4-3-2-1
5'-C A G A A C G T C G T G A G A C A G T T C C-3' 配列番号:7
3'-G T C T T G C A G C A C T C T G T C A A G G-5' 配列番号:8
位置 -1-2-3-4-5-6-7-8-9
ここで留意すべきことは、中央の4塩基対以外でも、この認識配列は完全な回文配列ではないことである。2つの認識配列半部位はそれぞれのセンス鎖上に太字で示されている。]
[0103] 本発明に従って、I−MsoIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインへのアミノ酸改変の実質的な数が同定され、単独又は組み合わせて、これらの合理的に設計されたメガヌクレアーゼが野生型酵素と異なる認識配列を有するように、DNA認識配列半部位内の個々の塩基で変化させた特異性を有する組換えメガヌクレアーゼを得た。I−MsoIのアミノ酸の改変及び認識配列半部位の特異性における予測される変化を表2に示す。]
[0104] ]
[0105] 2.2.3.I−SceI由来のメガヌクレアーゼ
他の態様において、本発明は出芽酵母のI−SceIメガヌクレアーゼに基づく又は由来する合理的に設計されたメガヌクレアーゼに関連する。I−MsoIメガヌクレアーゼの野生型アミノ酸配列を配列番号:9に示す。これはGenbankアクセッション番号CAA09843に対応する。結晶構造PDB番号1R7Mから、下記の野生型I−SceIメガヌクレアーゼの認識配列が示される。
センス5'-T T A C C C T G T T A T C C C T A G-3' 配列番号:10
アンチセンス3'-A A T G G G A C A A T A G G G A T C-5' 配列番号:11
位置 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
ここで留意すべきことは、認識配列は非回文配列であり、半部位を分離する4つの塩基対が存在しないことである。]
[0106] 本発明に従って、I−SceIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインへのアミノ酸改変の実質的な数が同定され、単独又は組み合わせて、これらの合理的に設計されたメガヌクレアーゼが野生型酵素と異なる認識配列を有するように、DNA認識配列内の個々の塩基で変化させた特異性を有する組換えメガヌクレアーゼを得た。I−SceIのアミノ酸の改変及び認識配列の特異性における予測される変化を表3に示す。]
[0107] ]
[0108] 2.2.4.I−CeuI由来のメガヌクレアーゼ
他の態様において、本発明はクラミドモナスユーガメタスのI−CeuIメガヌクレアーゼに基づく又は由来する合理的に設計されたメガヌクレアーゼに関連する。I−CeuIメガヌクレアーゼの野生型アミノ酸配列を配列番号:12に示す。これはGenbankアクセッション番号P32761に対応する。結晶構造PDB番号2EX5から、野生型I−CeuIメガヌクレアーゼの2つの認識配列半部位が示される。
位置 -9-8-7-6-5-4-3-2-1
5'-A T A A C G G T C C T A A G G T A G C G A A-3' 配列番号:13
3'-T A T T G C C A G G A T T C C A T C G C T T-5' 配列番号:14
位置 -1-2-3-4-5-6-7-8-9
ここで留意すべきことは、中央の4塩基対以外でも、I−CeuI認識界面における自然の縮重により、I−CeuIがホモ二量体であるという事実にもかかわらず、認識配列が非回文配列であることである(Spiegelら, (2006), Structure 14: 869-80)。2つの認識配列半部位はそれぞれのセンス鎖上に太字で示されている。]
[0109] 本発明に従って、I−CeuIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインへのアミノ酸改変の実質的な数が同定され、単独又は組み合わせて、これらの合理的に設計されたメガヌクレアーゼが野生型酵素と異なる認識配列を有するように、DNA認識配列半部位内の個々の塩基で変化させた特異性を有する組換えメガヌクレアーゼを得た。I−CeuIのアミノ酸の改変及び認識配列の特異性における予測される変化を表4に示す。]
[0110] ]
[0111] 2.2.5.特異的に排除された組換えメガヌクレアーゼ
本発明は、先行技術に記載の組換えメガヌクレアーゼを包含するものではなく、別の方法により開発されたものである。これらの排除されるメガヌクレアーゼにはArnouldら, (2006), J. Mol. Biol. 355: 443-58、Sussmanら, (2004), J. Mol. Biol. 342: 31-41、Chamesら, (2005), Nucleic AcidsRes. 33: el78、Seligmanら, (2002), Nucleic Acids Res. 30: 3870-9及びAshworthら, (2006), Nature 441(7093): 656-659に記載されるものが含まれ、それらの開示全体はここに引用することにより本明細書に取り込まれ、C33、R33、A44、H33、K32、F33、R32、A28、A70、E33、V33、A26及びR66から選択される単一の置換を有するI−CreIに基づく組換えメガヌクレアーゼが排除されるメガヌクレアーゼに含まれる。更に、A68/N70/N75及びD44/D70/N75から選択された3つの置換又はK44/T68/G60/N75及びR44/A68/T70/N75から選択された4つの置換を有する組換えメガヌクレアーゼが排除される。最後に、一対のL28及びR83置換を有するI−MsoIに基づく組換えメガヌクレアーゼも特異的に排除される。これらの置換又は置換の組み合わせは、本明細書において「排除された改変」と呼ばれる。]
[0112] 2.2.6.認識配列半部位に多変化を有するメガヌクレアーゼ
他の態様において、本発明は、DNA認識配列半部位の2つ以上の位置の半部位優先順位を変えるために、上記2.2.1.〜2.2.4.欄に記載されているように、2つ以上のアミノ酸の改変を組み合わせることにより作製される合理的に設計されたメガヌクレアーゼに関する。例えば、限定するものではなく、また更に十分に後述するが、改変、(−7位置のCを好む)R30/E38、(−6位置のGを好む)R40、(−5位置のGを好む)R42及び(−9位置の完全な縮重を好む)N32を取り入れることによりDJl酵素がI−CreIから誘導された。合理的に設計されたDJlメガヌクレアーゼは、A−7A−6C−5に対して優先的な野生型と比較してC−7G−6G−5を不変的に認識し、−9位置のAに対する耐性が上昇されている。]
[0113] 異なる塩基位置を影響する残基置換を組み合わせる能力は、一部にはLAGLIDADGメガヌクレアーゼのモジュラー特性による。LAGLIDADG認識相互作用の塩基接触のほとんどは、個々のアミノ酸側鎖により作られており、相互作用は比較的自由な相互連結であるか、隣接する塩基と相互作用する側鎖間の水素結合ネットワークである。これは、一般に、隣接する塩基での側鎖の相互作用に影響することなく、1つの塩基位置で相互作用する残基の操作を可能にする。上記2.2.1.〜2.2.4.欄で記載した変異の追加の特性はまた、これらの変異を同定するために使用された方法の必然的な結果である。該方法は、単一の塩基と直接相互作用する側鎖置換を予測する。相互連結又は側鎖間の水素結合ネットワークは、一般に、認識界面内の置換の独立性を保持するために回避される。]
[0114] 側鎖置換の組み合わせには、完全に又は部分的に互いに適合しないものがある。適合しない対またはアミノ酸の一組が合理的に設計されたメガヌクレアーゼに組み込まれた場合、得られた酵素は触媒活性が低下又は消失する。代表的には、これらの不適合性は、導入されたアミノ酸の側鎖間の立体障害によるものであり、活性はこの相互作用を同定し、除去することによって復元することができる。具体的には、大きな側鎖を有する2つのアミノ酸(例えば、2又は3群のアミノ酸)をメガヌクレアーゼ構造内の互いに隣接するアミノ酸の位置(例えば、I−CreI由来のメガヌクレアーゼでは、32と33、28と40、28と42、42と77又は68と77)に導入する場合、これらの2つのアミノ酸は互いに作用し、酵素活性が低下すると思われる。この相互作用は、互いに適合しないアミノ酸の一方又は両方をより小さな側鎖を有するアミノ酸(例えば、1群又は2群)に置換することによって解消される。例えば、I−CreI由来の合理的に設計されたメガヌクレアーゼでは、K28はR40とR42の両者と相互作用する。酵素活性を最大にするために、R40とR42を28位置のセリン又はアスパラギン酸と結合することができる。]
[0115] 本明細書に説明されているように同定されたアミノ酸置換の組み合わせは、野生型メガヌクレアーゼ(又は前もって改変したメガヌクレアーゼ)の特異性を元の認識配列から、目的の核酸(例えば、ゲノム)に存在するかもしれない所望の認識配列に合理的に変更するために使用することができる。図2Aは、例えば、I−CreIメガヌクレアーゼ認識配列WT(配列番号:4)の「センス」鎖を、合理的に設計されたメガヌクレアーゼが有用である多数の他の配列と共に示す。WT認識配列と所望の認識配列の間の保存塩基は影を付けて示す。本発明に従って、I−CreIメガヌクレアーゼに基づく組換えメガヌクレアーゼをこれらの所望の認識配列のそれぞれに対して、他のものと同様に、本明細書に記載されているように適当なアミノ酸置換により、合理的に設計することができる。] 図2A
[0116] 3.DNA結合親和性が変更された合理的に設計されたメガヌクレアーゼ
上述したように、本発明の組換えメガヌクレアーゼのDNA結合親和性は、DNAのリン酸ジエステル骨格と接触表面を形成するいくつかのアミノ酸を変えることによって変異させることができる。接触表面は、残基が野生型メガヌクレアーゼ-DNA複合体内のDNA骨格と接触するか否かにかかわりなく、DNA骨格から9Å未満のβ炭素及びDNAに向かう側鎖を有する酵素内のアミノ酸を有する。DNA結合は酵素活性にとって必要な前駆体であるので、DNA結合親和性の上昇又は低下は、それぞれ、酵素活性の上昇及び低下を引き起こすことが示されている。しかし、DNA結合親和性の上昇又は低下はまた、メガヌクレアーゼ配列特異性を低下又は上昇させることが示されている。従って、活性と特異性はリン酸ジエステル骨格の接触を改変することによって調節することができる。]
[0117] 具体的に、酵素活性を上昇させ、特異性を低下させるためには、
(i)酵素とDNA骨格との間の静電反発力を除去する。同定されたアミノ酸が負に荷電した側鎖を有している場合(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、負に荷電したDNA骨格と反発することが予想されるが、アミノ酸を荷電されていない又は正に荷電した側鎖を有するアミノ酸に置換することによって、立体相互作用の影響を受けることを条件として、反発力を除くことができる。実験的に検証した例では、I−CreIのグルタミン酸80をグルタミンに変異させる。]
[0118] (ii)酵素とDNA骨格との間に静電気引力相互作用を導入する。接触表面のいずれかの位置に、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジンやアルギニン)を導入することにより、立体相互作用の影響を受けることを条件として、結合親和性の上昇が期待される。]
[0119] (iii)酵素とDNA骨格との間に水素結合を導入する。接触表面のアミノ酸が適当な水素結合機能性を欠いているか、DNA骨格と相互作用するには短すぎる若しくは長すぎる及び/又は柔軟すぎる側鎖を有しているために、アミノ酸がDNA骨格と水素結合を形成できない場合には、水素結合を供与でき、適当な長さと柔軟性を有する極性アミノ酸(例えば、セリン、スレオニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン又はアルギニン)を、立体相互作用の影響を受けることを条件として、導入することができる。]
[0120] 具体的に、酵素活性を低下させ、特異性を上昇させるためには、
(i)酵素とDNA骨格との間に静電反発力を導入する。接触表面のいずれかの位置に、負に荷電した側鎖を有するアミノ酸(例えば、グルタミン酸やアスパラギン酸)を導入することにより、立体相互作用の影響を受けることを条件として、結合親和性の低下が期待される。]
[0121] (ii)酵素とDNAとの間の静電気引力を除去する。接触表面のアミノ酸が負に荷電しているDNA骨格と相互作用する正に荷電した側鎖を有している場合(例えば、リジン又はアルギニン)、立体相互作用の影響を受けることを条件として、アミノ酸を荷電されていない又は負に荷電した側鎖を有するアミノ酸に置換することによって、この引き合う相互作用を除くことができる。実験的に検証した例では、I−CreIのリジン116をアスパラギン酸に変異させる。]
[0122] (iii)酵素とDNA骨格との間の水素結合を除去する。接触表面のアミノ酸がDNA骨格と水素結合を形成する場合、その側鎖が適当な官能基を有していないか、必要な長さ/柔軟性特徴を欠いているため同様の水素結合を形成しないことが期待されるアミノ酸に置換することができる。]
[0123] 例えば、I−CreIに基づく組換えメガヌクレアーゼには、活性を上昇させるためにI−CreIメガヌクレアーゼの80位置のグルタミン酸をリジン又はグルタミンに変えたものがある。他の実施形態では、I−CreIの66位置のチロシンをアルギニン又はリジンに変更し、メガヌクレアーゼの活性を上昇させている。更にまた別の実施形態では、I−CreIの34位置のリジンをアスパラギン酸に、66位置のチロシンをアスパラギン酸に及び/又は166位置のリジンをアスパラギン酸に変更し、酵素活性を低下させている。]
[0124] 組換えメガヌクレアーゼの活性は、特定の認識配列に関して活性無しから非常に強い活性までの範囲で、その組み換え酵素の活性を調節することができる。例えば、DJl組換えメガヌクレアーゼは、26位置にグルタミン酸変異を有する場合、その活性を完全に失う。しかし、26位置のグルタミン酸置換と80位置のグルタミン置換との組み合わせは、認識配列半部位内の−4のグアニンに対して高い特異性及び活性を有する組換えメガヌクレアーゼを作成する(図1(D)参照)。] 図1
[0125] 本発明に従って、リン酸ジエステルDNA骨格に近接する種々の位置のアミノ酸を、メガヌクレアーゼの活性と特異性の両方に同時に影響を与えるように変化させることができる。この酵素の特異性及び活性の「同調」は、リン酸ジエステル骨格とのアミノ酸による接触の数を増やす又は減らすことによって達成される。リン酸ジエステル骨格との様々な接触はアミノ酸側鎖により促進することができる。実施態様によっては、リン酸ジエステル骨格とのアミノ酸側鎖の結合は、イオン結合、塩橋、水素結合及び立体障害により影響される。例えば、I−CreIメガヌクレアーゼに対して、116位置のリジンをアスパラギン酸に変更することによって−8と−9位置の核酸塩基対の塩橋を除去して、酵素切断率を低下させ、特異性を上昇させる。]
[0126] 野生型I−CreI(配列番号:1)、I−MsoI(配列番号:6)、I−SceI(配列番号:9)及びI−CeuI(配列番号:12)メガヌクレアーゼのそれぞれの骨格接触表面を形成する残基を同定し、表5に示す。]
[0127] ]
[0128] 酵素の親和性を上げ、それによって活性を更に上げ、特異性を更に下げるには、
(1)酵素に対応する、負に荷電(D又はE)、疎水性(A、C、F、G、I、L、M、P、V、W又はY)又は荷電されていない/極性(H、N、Q、S又はT)のいずれかであるアミノ酸を表5から選択する。
(2)アミノ酸が負に荷電又は疎水性である場合、非荷電/極性(低効果)又は正に荷電(K又はR、高効果)に変異させる。
(3)アミノ酸が非荷電/極性の場合、正に荷電されるように変異させる。]
[0129] 酵素の親和性を下げ、それによって活性を更に下げ、特異性を更に上げるには、
(1)酵素に対応する、正に荷電(K又はR)、疎水性(A、C、F、G、I、L、M、P、V、W又はY)又は荷電されていない/極性(H、N、Q、S又はT)のいずれかであるアミノ酸を表5から選択する。
(2)アミノ酸が正に荷電している場合、非荷電/極性(低効果)又は負に荷電(高効果)に変異させる。
(3)アミノ酸が疎水性又は非荷電/極性の場合、負に荷電されるように変異させる。]
[0130] 4.へテロ二量体メガヌクレアーゼ
他の態様では、本発明は、2つの単量体、その1つが野生型で1つが天然に存在しない又は組み換え体又は両者が天然に存在しない又は組み換え体、の結合により形成されるヘテロ二量体であるメガヌクレアーゼを提供する。例えば、野生型I−CreIメガヌクレアーゼは、本来は、偽回文認識配列の1つの半部位にそれぞれ結合する2つの単量体からなるホモ二量体である。ヘテロ二量体組換えメガヌクレアーゼは、異なる半部位を認識する2つのメガヌクレアーゼを結合することにより、例えば、2つのメガヌクレアーゼを細胞中で共発現させるか、2つのメガヌクレアーゼを溶液中で混合することにより作成することができる。二量体への結合に影響する2つの単量体それぞれのアミノ酸を変えることによって、ヘテロ二量体の形成をホモ二量体の形成をより優先させることができる。特定の実施形態においては、2つの単量体の界面にあるアミノ酸を、第1の単量体では負に荷電しているアミノ酸(D又はE)を正に荷電しているアミノ酸(K又はR)に変え、第2の単量体では正に荷電しているアミノ酸を負に荷電しているアミノ酸(K又はR)に変える(表6)。例えば、I−CreI由来のメガヌクレアーゼでは、第1の単量体の7と57の位置のリジンをグルタミン酸に変異させ、第2の単量体の8と61の位置のグルタミン酸をリジンに変異させる。この工程の結果、第1の単量体は二量体界面において過剰の正に荷電した残基を有し、第2の単量体は二量体界面において過剰の負に荷電した残基を有する一対の単量体が得られる。従って、第1及び第2の単量体は、界面での置換されたアミノ酸間の静電相互作用により、同一の単量体対よりも優先的に結合する。]
[0131] ]
[0132] これに代えて、又は、加えて、ホモ二量体の形成を立体的に阻害するように、2つの単量体の界面のアミノ酸を変えることができる。具体的には、1つの単量体の二量体界面のアミノ酸を、ホモ二量体を立体的に阻害するより大きな又はより嵩高い残基で置換する。第2の単量体の二量体界面のアミノ酸は、第1の単量体の残基の嵩高さを埋め合わせるためにより小さな残基で置換してもよく、又は改変しなくてもよい。]
[0133] 更に、他の代替、又は、追加の実施形態では、イオン架橋又は水素結合をヘテロ二量体界面の疎水性コアに埋めることができる。具体的には、界面のコアでの1つの単量体の疎水性残基を正に荷電している残基で置換する。更に、野生型のホモ二量体では第1の単量体の置換された該疎水性残基と相互作用している、第2の単量体の疎水性残基を負に荷電した残基で置換する。これにより、2つの置換した残基はイオン架橋又は水素結合を形成することができる。同時に、疎水性界面に埋められた未充足荷電の静電反発力によりホモ二量体の形成は嫌われることになる。]
[0134] 最後に、上述したように、ヘテロ二量体の各単量体では、それぞれが異なるDNA半部位を有し、結合した二量体DNA認識配列が非回文であるように、DNA認識領域に異なるアミノ酸が置換されていてもよい。]
[0135] 5.組換え細胞及び生物の作製方法
本発明の態様は更に、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使用して組換え、形質転換又はその他の方法で遺伝子改変された細胞及び生物を作製する方法を提供する。従って、ある実施形態において、相同的組換えにより目的の配列の正確な挿入を行うために、細胞又は生物のゲノムDNAの単一部位又は比較的少ない部位に二本鎖切断を特異的に起こす組換えメガヌクレアーゼを開発する。他の実施形態では、(a)非相同的末端結合により目的の配列の挿入がほとんど起こらないように、又は(b)非相同的末端結合により標的配列を破壊するように、細胞又は生物のゲノムDNAの単一部位又は比較的少ない部位に二本鎖切断を特異的に起こす組換えメガヌクレアーゼを開発する。本明細書において、目的の配列の相同的組換えまたは非相同的末端結合に関して、「挿入」とは、染色体に目的の配列が組み込まれるように、染色体に目的の配列を核酸連結することを意味する。相同的組換えの場合には、挿入された配列が内因性の配列に取って代わり、元のDNAが同じ長さを有するが、ヌクレオチド配列が違っている外因性DNAにより置換される。或いは、挿入された配列が置換する配列より多い又はより少ない塩基を有することもできる。]
[0136] 従って、本発明のこの態様に従って、組換え生物は、限定されるわけではないが、イネ、コムギ、トウモロコシ、ライムギなどの単子葉植物種、マメ科植物(例えば、インゲンマメ、ダイズ、レンズマメ、ピーナッツ、エンドウマメ)、アルファルファ、クローバー、タバコなどの双子葉植物種及びシロイヌナズナ種を包含する。また、組換え生物は、限定されるわけではないが、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、魚などの動物及びショウジョウバエ種などの昆虫を包含する。他の実施形態では、生物はカンジダ、パンカビ、サッカロミセス種などの真菌である。]
[0137] ある実施形態においては、本発明の方法は、成熟組換え生物になることができる又は得られた遺伝子改変された生物がゲノム内に目的の挿入配列を有する子孫を発生させることができる胚細胞や肝細胞などの細胞に、目的の配列を導入することを有する。]
[0138] メガヌクレアーゼタンパク質は細胞に供給されてゲノムDNAを切断し、本技術分野で公知の様々な異なるメカニズムにより切断部位を目的の配列で相同的組換え又は非相同的末端結合する。例えば、組換えメガヌクレアーゼタンパク質を細胞に導入する方法には、これらに限定されるわけではないが、マイクロインジェクション法やリポソーム形質移入法(例えば、LipofectamineTM, Invitrogen Corp., Carlsbad,カリフォルニア参照)などがある。リポソームの形態は、脂質二重層と標的細胞との融合を促進させるために使用することができ、これによりリポソームの内容物又はその表面に使用されるタンパク質を細胞内に持ち込まれる。また、酵素は、HIVのTATタンパク質から直接の細胞性取り込みに至るまで、適当な取り込みペプチドと融合することができる(例えば、Hudeczら, (2005), Med. Res. Rev. 25: 679-736参照)。]
[0139] 或いは、メガヌクレアーゼタンパク質をコードする遺伝子配列をベクターに挿入し、本技術分野において公知の方法により真核細胞をトランスフェクトする(例えば、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley 1999参照)。目的の配列は、同じベクター、他のベクター又は本技術分野で公知の他の方法により導入することができる。]
[0140] DNAトランスフェクションのためのベクターの非限定的な例として、ウィルスベクター、プラスミド、コスミド及びYACベクターを挙げることができる。DNA配列のトランスフェクションは、当業者に公知の様々な方法により達成することができる。例えば、DNA配列を細胞に供給するためにリポソームやイムノリポソームが使用される(例えば、Lasicら, (1995), Science 267: 1275-76参照)。また、ウィルスを使用してベクターを細胞に導入することもできる(例えば、米国特許第7,037,492号参照)。或いは、ベクターを裸のDNAとして導入するようなトランスフェクション法を利用することもできる(例えば、Ruiら, (2002), Life Sci. 71(15): 1771-8参照)。]
[0141] 核酸を細胞内に供給する一般的な方法としては、(1)化学的方法(Grahamら, (1973), Virology 54(2): 536-539、Zatloukalら, (1992), Ann. N.Y. Acad. Sci., 660: 136-153)、(2)物理的方法、例えば、マイクロインジェクション(Capecchi (1980), Cell 22(2):479-488)、エレクトロポレーション(Wongら, (1982), Biochim. Biophys. Res. Commun. 107(2): 584-587、Frommら, (1985), Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82(17): 5824-5828、米国特許第5,384,253号)及び弾道注入(Johnstonら, (1994), MethodsCell. Biol. 43(A): 353-365、Fynanら, (1993), Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 90(24): 11478-11482)、(3)ウィルスベクター(Clapp (1993), Clin. Perinatol. 20(1): 155-168、Luら, (1993), J. Exp. Med. 178(6): 2089-2096、Eglitisら, (1988), Avd. Exp. Med. Biol. 241: 19-27、Eglitisら, (1988), Biotechniques 6(7): 608-614)及び(4)受容体介在性機構(Curielら, (1991), Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 88(19): 8850-8854、Curielら, (1992), Hum. Gen. Ther. 3(2): 147-154、Wagnerら, (1992), Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89 (13): 6099-6103)を挙げることができる。]
[0142] 実施形態によっては、ゲノムに挿入された目的の配列を有する、遺伝子改変された植物を作製する。また、実施形態によっては、メガヌクレアーゼ認識配列及び/又は標的配列に実質的に同一である配列が隣接していてもいなくてもよい、組換えメガヌクレアーゼ及び目的の配列に対応するDNA配列で植物細胞をトランスフェクトして遺伝子改変された植物を作製する。他の実施形態においては、切断が非相同的末端結合を促進し、認識配列を含有する標的配列を破壊するように、組換えメガヌクレアーゼにのみ対応するDNA配列で植物細胞をトランスフェクトして遺伝子改変された植物を作製する。そのような実施形態では、メガヌクレアーゼ配列は、宿主植物細胞内にメガヌクレアーゼを発現させる調節配列に制御される。これらの調節配列には、限定されるわけではないが、NOSプロモーターなどの構成的植物プロモーター、デキサメタゾン誘導性プロモーターなどの化学的誘導性遺伝子プロモーター(例えば、Gremillonら, (2004), Plant J. 37: 218-228参照)及びLGC1プロモーターなどの植物組織特異的プロモーター(例えば、Singhら, (2003), FEBSLett. 542: 47-52参照)が包含される。]
[0143] DNAを植物細胞に導入する好適な方法は、実質上、細胞にDNAが導入される方法であればいずれの方法でもよく、限定されるわけではないが、アグロバクテリウム感染、プロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirullehら, (1993), Plant Molecular Biology, 21: 415-428)、乾燥/阻害‐媒介DNA取り込み、エレクトロポレーション、炭化ケイ素繊維による撹拌、弾道注入、マイクロプロジェクタイル高速注入などが包含される。]
[0144] 他の実施形態では、組換えメガヌクレアーゼを使用して遺伝子改変された動物を作製する。植物細胞と同様、核酸配列を胚細胞又は最終的に組換え生物になる細胞に導入する。ある実施形態では、該細胞は受精卵であり、外因性DNA分子を受精卵の前核内に注入する。微量注入された卵を、偽妊娠を誘発した借腹親の卵管内に移植し育成する。組換えメガヌクレアーゼは受精卵内で(例えば、3−ホスホグリセンリン酸キナーゼなどの構成的プロモーターの制御下に)発現され、ゲノム内の1つ又は少数の不連続部位に目的の配列の相同的組換えを促進する。或いは、遺伝子改変された動物は、Gosslerら, (1986), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 9065-9069に記載されているように、組換え作成のための組換え胚性幹(「ES」)細胞を利用して作製することもできる。]
[0145] ある実施形態においては、組換え哺乳類発現ベクターは、核酸の組織特異的発現を特定の細胞型において優先的に起こすことができる。組織特異的な調節エレメントは当業者に知られている。好適な組織特異的プロモーターの非限定的例には、アルブミンプロモーター(肝特異的:Pinkertら, (1987), Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ球特異的プロモーター(Calame及びEaton (1988), Adv. Immunol. 43: 235-275)、特に、T細胞受容体のプロモーター(Winoto及びBaltimore (1989),EMBO J. 8: 729-733)、及びイムノグロブリン(Banerjiら, (1983), Cell 33: 729-740、Queen及びBaltimore (1983), Cell 33: 741-748)、神経特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター:Byrne and Ruddle (1989), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473- 5477)、膵特異的プロモーター(Edlundら, (1985), Science 230: 912-916)及び乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター:米国特許第4,873,316号及び欧州特許出願公開第264,166号)が包含される。発生的に制御されるプロモーターも包含され、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel及びGruss (1990), Science 249: 374- 379)及びα‐フェトプロテインプロモーター(Campes及びTilghman (1989), Genes Dev. 3: 537-546)が包含される。]
[0146] ある実施形態においては、合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、発現量及び位置をモニターするためにペプチドエピトープ(例えば、HA、FLAGまたはMycエピトープ)でタグ付けされてもよい。ある実施形態では、メガヌクレアーゼは、核局在化シグナル(例えば、SV40からの核局在化シグナル)又はクロロプラストないしはミトコンドリア局在化シグナルなどの細胞内局在に融合してもよい。他の実施形態では、メガヌクレアーゼは核外輸送シグナルに融合し、細胞質に局在化させてもよい。メガヌクレアーゼはまた、DNA修復又は相同的組換え(例えば、recA、RAD51、RAD52、RAD54、RAD57又はBRCA2)を促進するタンパク質などの無関係なタンパク質やタンパク質ドメインに融合してもよい。]
[0147] 6.遺伝子治療方法
本発明の態様において、組換えメガヌクレアーゼを遺伝子治療に使用することができる。本明細書において、「遺伝子治療」とは、患者に少なくと1つの遺伝子の機能的コピー又はその構造及び/又は機能に欠陥のある遺伝子又は遺伝子調節領域を置換するためのプロモーター、エンハンサー又はサイレンサーなどの遺伝子調節配列を導入することを包含する治療的処理を意味する。「遺伝子治療」はまた、有害な遺伝子又は調節エレメント(例えば、癌遺伝子)を改変して該遺伝子の発現を低減又は排除することを指すこともできる。遺伝子治療は、先天性症状、患者の生涯にわたる特定の遺伝子座の変異又は損傷による症状又は感染性生物による症状を処理するために行うことができる。]
[0148] 本発明のある態様においては、遺伝子発現に作用するゲノムの領域に外因性の核酸配列を挿入して、機能不全の遺伝子を置換するか又は不能にする。ある実施形態においては、組換えメガヌクレアーゼは、症状を軽減するように改変する遺伝子の領域の特定の配列を標的とする。該配列は、遺伝子の発現不全の原因である、エクソン、イントロン、プロモーター内の領域又は他の調節領域であることができる。本明細書において、「不全発現」は、少なすぎる遺伝子生成物もしくは多すぎる遺伝子生成物を作製する、又は必要な機能が欠損しているもしくは必要以上の機能を有しているなどの異なる機能を有する遺伝子生成物を作製する細胞による遺伝子生成物の異常な発現を意味する。]
[0149] 改変される領域に挿入される外因性核酸配列は、遺伝子を正常化した「修復された」配列を提供するために使用することができる。遺伝子修復は、適切な機能が再確立されるように遺伝子に適切な遺伝子配列を導入することにより行うことができる。これらの実施形態において、挿入される核酸配列はタンパク質のコード配列全体でもよく、また、ある実施形態においては、修復される領域のみからなる遺伝子のフラグメントでもよい。他の実施形態では、挿入される核酸配列は、異常な発現又は制御が修復されるようにプロモーター配列又は他の調節エレメントを包含する。他の実施形態においては、挿入される核酸配列は、変異遺伝子に欠けている適切な翻訳停止コドンを含有する。核酸配列はまた、適切な転写停止シグナルを欠損している組換え遺伝子に転写を停止するための配列を有することもできる。]
[0150] 或いは、核酸配列は、遺伝子の調節配列を破壊又は遺伝子機能を消失させるサイレンサーを与えることによって遺伝子機能を完全に消失させることもできる。ある実施形態において、外因性核酸配列は、遺伝子生成物の発現を止めるための翻訳停止コドンを提供する。他の実施形態においては、外因性核酸配列は、全長RNA分子の発現を止めるための翻訳停止エレメントを提供する。更に他の実施形態では、非相同的末端結合による塩基の挿入、塩基の欠失及び/又はフレームシフト変異を導入することによってメガヌクレアーゼにより遺伝子機能を直接破壊する。]
[0151] 多くの例において、適切な遺伝子配列を疾病症状の原因である標的細胞又は細胞群に向かわせることが望ましい。このような標的療法は健康な細胞を治療の標的になることから守ることができ、健康な細胞に対する治療による副作用の可能性を下げながら、治療の効果を上げることができる。]
[0152] ゲノムに挿入される組換えメガヌクレアーゼ遺伝子と目的の配列は、様々なメカニズムにより目的細胞に供給される。ある実施形態では、ウィルスの繁殖が抑えられるように特定のウィルス遺伝子が不活性化されたウィルスを使って核酸を細胞に供給する。このように、ウィルスを標的細胞内への供給、保持のみが可能で、標的細胞又は組織内で複製できないように改変することができる。1つ又は複数のDNA配列をウィルスゲノムがベクターのように作用するようにウィルスゲノムに導入することができる。該DNA配列は宿主ゲノムに挿入された後発現されてもされなくてもよい。より具体的には、ある実施形態では、限定されるわけではないが、MGF又はpLJベクターなどのレトロウィルスベクターを採用する。MGFベクターは単純化モロニーマウス白血病ウィルスベクター(Moloney murine leukemia virus vector:MoMLV)であり、その複製能を欠損させるためにpol及びenvタンパク質をコードするDNA配列が削除されている。pLJレトロウィルスベクターもまたMoMLV形状である(例えば、Kormanら, (1987), Proc. Nat'l Acad. ScL, 84: 2150-2154参照)。他の実施形態では、組換えアデノウィルス又はアデノ関連ウィルスを送達ベクターとして使用することができる。]
[0153] 他の実施形態において、組換えメガヌクレアーゼタンパク質及び/又は組換えメガヌクレアーゼ遺伝子配列はリポソームを使って標的細胞に送達される。核酸及び/又はタンパク質カーゴを含有するリポソームの作製は本技術分野で公知である(例えば、Lasicら, (1995), Science 267: 1275-76参照)。イムノリポソームは細胞関連抗原に対する抗体をリポソーム内に取り込み、メガヌクレアーゼに対するDNA配列又はメガヌクレアーゼそれ自体を特定の細胞型に送達できる(例えば、Lasicら, (1995), Science 267: 1275-76、Youngら, (2005), J. Calif. Dent. Assoc. 33(12): 967-71、Pfeifferら, (2006), J. Vase. Surg. 43(5): 1021-7参照)。リポソーム形態の作製及び使用方法は、本技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,316,024号、6,379,699号、6,387,397号、6,511,676号及び6,593,308号参照、及び本明細書に引用される)。ある実施形態では、リポソームを、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレアーゼ遺伝子配列と同様、目的の配列を送達するためにも使用する。]
[0154] 7.病原体感染の処置方法
本発明の態様はまた、病原体による感染を処置する方法を提供する。病原体生物には、ウィルス、限定されるわけではないが、例えば、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、ヒト免疫不全ウィルス1、ヒト免疫不全ウィルス2、痘瘡ウイルス、ポリオウィルス、エプスタイン‐バーウィルス、ヒトパピローマウィルス及び微生物、限定されるわけではないが、例えば、バチルス・アントラシス、ヘモフィルス種、肺炎球菌種、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス種、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、マイコプラズマ・肺炎菌が包含される。病原体生物にはまた、真菌生物、限定されるわけではないが、例えば、カンジダ、クリプトコッカス及びヒストプラズマ種が包含される。]
[0155] ある実施形態においては、合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、病原体ゲノム内の認識配列、例えば、発育、複製、病原体の毒性に不可欠な遺伝子又は調節エレメントを標的とする。ある実施形態においては、認識配列は細菌性プラスミドにあってもよい。病原体ゲノム内の認識配列をメガヌクレアーゼが関与して切断して非相同的末端結合を促進することにより、標的とされた不可欠な遺伝子の挿入、欠失又はフレームシフトの形での変異を促進する。或いは、細菌プラスミドを切断し、毒素遺伝子(例えば、炭疽菌致死因子遺伝子)や抗生物質耐性遺伝子など、プラスミドにコードされている遺伝子をプラスミドと一緒に消失させることもできる。上述したように、メガヌクレアーゼは、本技術分野の常法により、タンパク質又は核酸の形状で感染した患者、動物又は植物に送達されてもよい。ある実施形態においては、メガヌクレアーゼ遺伝子をバクテリオファージゲノムに取り入れて、病原性細菌に送達してもよい。]
[0156] 本発明の態様はまた、ある種の癌の処置のための治療法を提供する。ヒトウィルスは腫瘍形成を伴うことが多いので(例えば、エプスタイン-バーウィルスと上咽頭癌、ヒトパピローマウィルスと子宮頸癌)、これらウィルス性病原体の不活化により癌の成長又は進行を防ぐことができる可能性がある。或いは、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使ってこれら癌関連ウィルスのゲノムを標的とした二本鎖切断を、DNA損傷応答経路を介してアポトーシスを誘発するために使用してもよい。この場合、ウィルスゲノムを提供する腫瘍細胞にアポトーシスを選択的に誘導できる可能性がある。]
[0157] 8.遺伝子型解析と病原体同定の方法
本発明の態様はまた、インビトロ分子生物学研究開発のための手段を提供する。真核及び原核生物からのプラスミド、PCR生成物、BAC配列、YAC配列、ウィルス、ゲノム配列などの核酸を単離、クローニング、操作するために部位特異性エンドヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用することは、本技術分野において一般的である(例えば、Ausubel ら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley 1999参照)。従って、ある実施形態において、合理的に設計されたメガヌクレアーゼをインビトロで核酸配列を操作するために使用してもよい。例えば、同じDNA分子内の一対の認識配列を認識する合理的に設計されたメガヌクレアーゼを、細菌プラスミドであるBAC又はYACへのライゲーションなどの後の操作のために、介在DNAセグメントを単離するために使用することができる。]
[0158] 他の態様では、本発明は、病原体遺伝子及び生物を同定する手段を提供する。一つの実施形態において、健常な対立遺伝子から疾患を引き起こす対立遺伝子を識別するために、疾患と相関する多型遺伝子領域に対応する部位を、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを使用して切断することができる(例えば、ヒトCFTR遺伝子のΔF−508対立遺伝子を認識する合理的に設計されたメガヌクレアーゼ、実施例4参照)。この実施形態において、合理的に設計されたメガヌクレアーゼを、場合によっては、他の部位特異的ヌクレアーゼとともに使用して、ヒト又は他の生物から単離されたDNA配列を消化し、得られたDNAフラグメントパターンを電気泳動、キャピラリー電気泳動、質量分析またはその他の本技術分野で公知の方法により分析する。このフラグメントパターン、具体的には、合理的に設計されたメガヌクレアーゼによる切断の有無により、ゲノム内に認識配列が存在するか否かを明らかにして、生物の遺伝子型が示される。他の実施形態において、合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、病原性ウィルス、真菌又は細菌のゲノム内の多型領域を標的として、生物を同定するために使用される。この実施形態では、合理的に設計されたメガヌクレアーゼは病原体に特有の認識配列を切断し(例えば、細菌の16Sと23SrRNA遺伝子間のスペーサー領域、例えば、van der Giessenら, (1994), Microbiology 140: 1103-1108参照)、ゲノムのエンドヌクレアーゼ消化及びその後の電気泳動、質量分析またはその他の本技術分野で公知の方法によるフラグメントパターンの分析により、病原体を他の密接に関係する生物から識別することができる。]
[0159] 9.カスタムDNA結合ドメインの作製方法
他の態様において、本発明は、エンドヌクレアーゼ切断活性が欠如している、合理的に設計されたDNA結合タンパク質を提供する。合理的に設計されたメガヌクレアーゼの触媒活性は、触媒作用に関与するアミノ酸を変異することによって除去できる。(例えば、I−CreIにおけるQ47のEへの変異、Chevalierら, (2001), Biochemistry. 43: 14015-14026参照、I−SceIにおけるD44又はD145のNへの変異、I−CeuIにおけるE66のQへの変異、I−MsoIにおけるD22のNへの変異)。不活化されたメガヌクレアーゼは他のタンパク質のエフェクタードメインに融合されることができる。該他のタンパク質としては、制限されるものではないが、転写アクチベーター(例えば、GAL4トランスアクチベーションドメイン又はVP16トランスアクチベーションドメイン)、転写抑制因子(例えば、クルッペルタンパク質のKRABドメイン)、DNAメチラーゼドメイン(例えば、M.CviPI又はM.SssI)、ヒストンアセチルトランスフェラーゼドメイン(例えば、HDAC1又はHDAC2)を挙げることができる。操作されたDNA結合ドメイン、中でも操作されたジンクフィンガードメイン、からなるキメラタンパク質、及びエフェクタードメインが本技術分野において知られている(例えば、Papworthら, (2006), Gene 366: 27-38参照)。]
权利要求:

請求項1
野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4及び配列番号:5からなる群から選択されるI‐CreIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対して特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼが、削除改変ではない、表1に記載の改変の少なくとも一つを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項2
野生型I−MsoIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:7及び配列番号:8からなる群から選択されるI‐MsoIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対して特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼが、削除改変ではない、表2に記載の改変の少なくとも一つを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項3
野生型I−SceIメガヌクレアーゼと比較して認識配列に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:10及び配列番号:11のI‐SceIメガヌクレアーゼ認識配列の少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列に対して特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼが、削除改変ではない、表3に記載の改変の少なくとも一つを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項4
野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:12の野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:13及び配列番号:14からなる群から選択されるI‐CeuIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対して特異性を有し、該組換えメガヌクレアーゼが、削除改変ではない、表4に記載の改変の少なくとも一つを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項5
野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4及び配列番号:5からなる群から選択されるI‐CreIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対して特異性を有し、該特異性の変化が、(1)−1位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するQ70、C70、L70、Y75、Q75、H75、H139、Q46及びH46からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のAに対するY75、L75、C75、Y139、C46及びA46からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のGに対するK70、E70、E75、E46及びD46からなる群から選択される改変(d)センス鎖上のCに対するH75、R75、H46、K46及びR46からなる群から選択される改変;又は(e)センス鎖上のいずれかの塩基に対するG70、A70、S70及びG46からなる群から選択される改変;及び/又は(2)−2位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ70、T44、A44、V44、I44、L44及びN44からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE70、D70、K44及びR44からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のGに対するH70、D44及びE44からなる群から選択される改変;又は(d)センス鎖上のA又はTに対するC44を有する改変;及び/又は(3)−3位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ68及びC24からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE68、F68、K24及びR24からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のTに対するM68、C68、L68及びF68からなる群から選択される改変;(d)センス鎖上のA又はCに対するH68を有する改変;(e)センス鎖上のC又はTに対するY68を有する改変;又は(f)センス鎖上のG又はTに対するK68を有する改変;及び/又は(4)−4位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE77及びK26からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するE26及びR77からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のC又はTに対するS77を有する改変;又は(d)センス鎖上のいずれかの塩基に対するS26を有する改変;及び/又は(5)−5位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE42を有する改変;(b)センス鎖上のGに対するR42を有する改変;(c)センス鎖上のA又はGに対するC28及びQ42からなる群から選択される改変;又は(d)センス鎖上のいずれかの塩基に対するM66及びK66からなる群から選択される改変;及び/又は(6)−6位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するC40、I40、V40、C79、I79、V79及びQ28からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE40及びR28からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するR40を有する改変;及び/又は(7)−7位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE38、K30及びR30からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するK38、R38及びE30からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のTに対するI38及びL38からなる群から選択される改変;又は(d)センス鎖上のA又はGに対するC38を有する改変;又は(e)センス鎖上のいずれかの塩基に対するH38、N38及びQ30からなる群から選択される改変;及び/又は(8)−8位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するL33、V33、I33、F33及びC33からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE33及びD33からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のGに対するK33からなる改変;(d)センス鎖上のA又はCに対するR32を有する改変;又は(e)センス鎖上のA又はGに対するR33を有する改変;及び/又は(9)−9位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE32を有する改変;(b)センス鎖上のGに対するR32及びK32からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のTに対するL32、V32、A32及びC32からなる群から選択される改変;(d)センス鎖上のC又はTに対するD32及びI32からなる群から選択される改変;又は(e)センス鎖上のいずれかの塩基に対するS32、N32、H32、Q32及びT32からなる群から選択される改変であることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項6
野生型I−MsoIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーセは、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:7及び配列番号:8からなる群から選択されるI‐MsoIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対する特異性を有し、該特異性の変化が、(1)−1位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するK75、Q77、A49、C49及びK79からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するC77、L77及びQ79からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK77、R77、E49及びE79からなる群から選択される改変;及び/又は(2)−2位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ75、K81、C47、I47及びL47からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE75、D75、R47、K47、K81及びR81からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK75、E47及びE81からなる群から選択される改変;及び/又は(3)−3位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ72、C26、L26、V26、A26及びI26からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE72、Y72、H26、K26及びR26からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のTに対するK72、Y72及びH26からなる群から選択される改変;及び/又は(4)−4位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK28、K83及びQ28からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するR83及びK83からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するK28及びQ83からなる群から選択される改変;及び/又は(5)−5位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のGに対するR45及びE28からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するQ28を有する改変;又は(c)センス鎖上のCに対するR28を有する改変;及び/又は(6)−6位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK43、V85、L85及びQ30からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE43、E85、K30及びR30からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するR43、K43、K85、R85、E30及びD30からなる群から選択される改変;及び/又は(7)−7位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE32及びE41からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するR32、R41及びK41からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のTに対するK32、M41、L41及びI41からなる群から選択される改変;及び/又は(8)−8位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK32及びK35からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するE32を有する改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK32、K35及びR35からなる改変;及び/又は(9)−9位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するN34及びH34からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するS34、C34、V34、T34及びA34からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK34、R34及びH34からなる群から選択される改変であることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項7
野生型I−SceIメガヌクレアーゼと比較して認識配列に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:10及び配列番号:11のI‐SceIメガヌクレアーゼ認識配列の少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列に対して特異性を有し、該特異性の変化が、(1)4位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するK50を有する改変;(b)センス鎖上のTに対するK57、M57及びQ50からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するE50、R57及びK57からなる群から選択される改変;及び/又は(2)5位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するK48及びQ102からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するE48、K102及びR102からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のTに対するQ48、C102、L102及びV102からなる群から選択される改変;及び/又は(3)6位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するK59を有する改変;(b)センス鎖上のCに対するR59及びK59からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK84及びE59からなる群から選択される改変;及び/又は(4)7位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するR46、K46及びE86からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するK86、R86及びE46からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するC46、L46及びV46からなる群から選択される改変;及び/又は(5)8位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE88、R61及びH61からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するK88、Q61及びH61からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するK61、S61、V61、A61及びL61からなる群から選択される改変;及び/又は(6)9位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するC98、V98及びL98からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するR98及びK98からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するE98及びD98からなる群から選択される改変;及び/又は(7)10位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するK96及びR96からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するD96及びE96からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するC96及びA96からなる群から選択される改変;及び/又は(8)11位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するQ90を有する改変;(b)センス鎖上のCに対するK90及びR90からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するE90を有する改変;及び/又は(9)12位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ193を有する改変;(b)センス鎖上のCに対するE165、E193及びD193からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK165及びR165からなる群から選択される改変;及び/又は(10)13位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するQ193、C163及びL163からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するE193、D193、K163及びR192からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するC193及びL193からなる群から選択される改変;及び/又は(11)14位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK161及びQ192からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のAに対するL192及びC192からなる群から選択される改変;(c)センス鎖上のGに対するK147、K161、R161、R197、D192及びE192からなる群から選択される改変;又は(d)センス鎖上のTに対するK161及びQ192からなる群から選択される改変;及び/又は(12)15位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するC151、L151及びK151からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するK151を有する改変;又は(c)センス鎖上のCに対するE151を有する改変;及び/又は(13)17位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するG152及びQ150からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するK152及びK150からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するN152、S152、D152、D150及びE150からなる群から選択される改変;及び/又は(14)18位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するH155及びY155からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するR155及びK155からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するK155及びC155からなる群から選択される改変であることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項8
野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して少なくとも一つの認識配列半部位に対する特異性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:12の野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、かつ配列番号:13及び配列番号:14からなる群から選択されるI‐CeuIメガヌクレアーゼ認識配列内の半部位と少なくとも一つの塩基対が異なる認識配列半部位に対する特異性を有し、該特異性の変化は、(1)−1位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するC92、A92及びV92からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するQ116及びQ92からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するE116及びE92からなる群から選択される改変;及び/又は(2)−2位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するQ117、C90、L90及びV90からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するK117、R124、K124、E124、E90及びD90からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のCに対するE117、D117、R174、K124、K90、R90及びK68からなる群から選択される改変;及び/又は(3)−3位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するC70、V70、T70、L70及びK70からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するQ70を有する改変;(c)センス鎖上のCに対するK70からなる改変;及び/又は(4)−4位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するE126、D126、R88、K88及びK72からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するK126、L126及びQ88からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するQ126、N126、K88、L88、C88、C72、L72及びV72からなる群から選択される改変;及び/又は(5)−5位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のGに対するE74、K128、R128及びE128からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のTに対するC128、L128、V128及びT128からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のAに対するC74、L74、V74及びT74からなる群から選択される改変;及び/又は(6)−6位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK86、C86及びL86からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するD86、E86、R84及びK84からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するK128、R128、R86、K86及びE84からなる群から選択される改変;及び/又は(7)−7位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のCに対するR76、K76及びH76からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のGに対するE76及びR84からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のTに対するH76及びQ76からなる改変;及び/又は(8)−8位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のAに対するY79、R79及びQ76からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するD79、E79、D76及びE76からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するR79、K79、K76及びR76からなる群から選択される改変;及び/又は(9)−9位置での特異性の改変が、(a)センス鎖上のTに対するK78、V78、L78、C78及びT78からなる群から選択される改変;(b)センス鎖上のCに対するD78及びE78からなる群から選択される改変;又は(c)センス鎖上のGに対するR78、K78及びH78からなる群から選択される改変であることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項9
野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのE80、D137、I81、Ll12、P29、V64又はY66の置換;又は(b)K又はRでのT46、T140又はT143の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇していることを特徴とする組換えI‐CreIメガヌクレアーゼ。
請求項10
野生型I‐CreIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化している組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK34、K48、R51、K82、K116又はK139の置換;又は(b)D又はEでのI81、L112、P29、V64、Y66、T46、T140又はT143の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下していることを特徴とする組換えI‐CreIメガヌクレアーゼ。
請求項11
野生型I‐MsoIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのE147、I85、G86又はY118の置換;又は(b)K又はRでのQ41、N70、S87、T88、H89、Q122、Q139、S150又はN152の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項12
野生型I‐MsoIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK36、R51、K123、K143又はR144の置換;又は(b)D又はEでのI85、G86、Y118、Q41、N70、S87、T88、H89、Q122、Q139、S150又はN152の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項13
野生型I‐SceIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのD201、L19、L80、L92、Y151、Y188、I191、Y199又はY222の置換;又は(b)K又はRでのN15、N17、S81、H84、N94、N120、T156、N157、S159、N163、Q165、S166、N194又はS202の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項14
野生型I‐SceIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:9のI‐SceIメガヌクレアーゼの3〜186残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK20、K23、K63、K122、K148、K153、K190、K193、K195又はK223の置換;又は(b)D又はEでのL19、L80、L92、Y151、Y188、I191、Y199、Y222、N15、N17、S81、H84、N94、N120、T156、N157、S159、N163、Q165、S166、N194又はS202の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項15
野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、K又はRでのD25又はD128の置換;又は(b)K又はRでのS68、N70、H94、S117、N120、N129又はH172の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により上昇していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項16
野生型I‐CeuIメガヌクレアーゼと比較して二本鎖DNAに対する結合親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼであって、該組換えメガヌクレアーゼは、配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該DNA結合親和性が、(a)H、N、Q、S、T、D又はEでのK21、K28、K31、R112、R114又はR130の置換;又は(b)D又はEでのS68、N70、H94、S117、N120、N129又はH172の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により低下していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ。
請求項17
参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成に対する親和性が変化している組換えメガヌクレアーゼ単量体であって、該組換えメガヌクレアーゼ単量体は、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該二量体形成親和性が、(a)D又はEでのK7、K57又はK96の置換;又は(b)K又はRでのE8又はE61の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体。
請求項18
組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体であって、該ヘテロ二量体が、二量体形成親和性が(a)D又はEでのK7、K57又はK96の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有する第1のポリペプチド;及び二量体形成親和性が(b)K又はRでのE8又はE61の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している、配列番号:1のI‐CreIメガヌクレアーゼの2〜153残基に少なくとも85%の配列相似性を有する第2のポリペプチドを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体。
請求項19
参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成に対する親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼ単量体であって、該組換えメガヌクレアーゼ単量体は、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、該二量体形成親和性が、(a)D又はEでのR302の置換;又は(b)K又はRでのD20、E11又はQ64の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体。
請求項20
組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体であって、該ヘテロ二量体が、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR302の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有する第1のポリペプチド;及び二量体形成親和性が(b)K又はRでのD20、E11又はQ64の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している、配列番号:6のI‐MsoIメガヌクレアーゼの6〜160残基に少なくとも85%の配列相似性を有する第2のポリペプチドを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体。
請求項21
参照メガヌクレアーゼ単量体との二量体形成に対する親和性が変化した組換えメガヌクレアーゼ単量体であって、該組換えメガヌクレアーゼ単量体は、配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドを有し、二量体形成親和性が、(a)D又はEでのR93の置換;又は(b)K又はRでのE152の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化していることを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体。
請求項22
組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体であって、該ヘテロ二量体が、二量体形成親和性が(a)D又はEでのR93の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している、配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有する第1のポリペプチド;及び配列番号:12のI‐CeuIメガヌクレアーゼの5〜211残基に少なくとも85%の配列相似性を有するポリペプチドであって、二量体形成親和性が(b)K又はRでのE152の置換からなる群から選択される置換に対応する少なくとも一つの改変により変化している第2のポリペプチドを有することを特徴とする組換えメガヌクレアーゼヘテロ二量体。
請求項23
表1から選択される少なくとも一つの改変を更に有する請求項17又は18に記載の組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体であって、該改変が削除改変ではないことを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体。
請求項24
表2から選択される少なくとも一つの改変を更に有する請求項19又は20に記載の組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体であって、該改変が削除改変ではないことを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体。
請求項25
表4から選択される少なくとも一つの改変を更に有する請求項21又は22に記載の組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体であって、該改変が削除改変ではないことを特徴とする組換えメガヌクレアーゼ単量体又は二量体。
請求項26
真核細胞の染色体に挿入された目的の外因性配列を有する遺伝子改変された真核細胞を作製する方法であって、該方法は、(i)メガヌクレアーゼをコードする第1の核酸配列、及び(ii)該目的配列を有する第2の核酸配列を含有する一つ又は複数の核酸で真核細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該目的配列が該切断部位で染色体に挿入され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであることを特徴とする方法。
請求項27
第2の核酸が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を更に有し、目的配列が相同的組換えにより切断部位に挿入されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
請求項28
第2の核酸が該切断部位に対して実質的な相同性を有せず、目的配列が非相同的末端結合により染色体に挿入されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
請求項29
真核細胞の染色体に挿入された目的の外因性配列を有する遺伝子改変された真核細胞を作製する方法であって、該方法は、真核細胞にメガヌクレアーゼタンパク質を導入し、該真核細胞を目的の配列を有する核酸でトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該目的配列が該切断部位で染色体に挿入され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであることを特徴とする方法。
請求項30
核酸が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を更に有し、目的配列が相同的組換えにより切断部位に挿入されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
請求項31
核酸が該切断部位に対して実質的な相同性を有せず、目的配列が非相同的末端結合により染色体に挿入されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
請求項32
真核細胞の染色体の標的配列を破壊することにより遺伝子改変された真核細胞を作製する方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする核酸で真核細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該標的配列が該切断部位での非相同的末端結合により破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであることを特徴とする方法。
請求項33
遺伝子改変された生物を作製する方法であって、該方法は、請求項26〜32のいずれか一つに記載の方法に従って遺伝子改変された真核細胞を作製し、該遺伝子改変された真核細胞を成長させて遺伝子改変された生物を作製することを含むことを特徴とする遺伝子改変された生物を作製する方法。
請求項34
真核細胞が、配偶子、接合子、胚盤胞細胞、胚性幹細胞及びプロトプラスト細胞からなる群から選択されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
請求項35
真核生物における遺伝子治療による疾患の処置方法であって、該方法は、(i)メガヌクレアーゼをコードする第1の核酸配列、及び(ii)目的の配列を有する第2の核酸配列を含有する1つ又は複数の核酸で真核生物の少なくとも1つの細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該目的配列が該切断部位で染色体に挿入され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該目的配列の挿入により疾患の遺伝子治療がなされることを特徴とする、疾患の処置方法。
請求項36
第2の核酸配列が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を更に有し、目的配列が相同的組換えにより切断部位に挿入されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
請求項37
第2の核酸配列が該切断部位に対して実質的な相同性を有せず、目的配列が非相同的末端結合により染色体に挿入されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
請求項38
真核生物における遺伝子治療による疾患の処置方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼタンパク質を真核生物の少なくとも1つの細胞に導入し、目的配列を有する核酸で該真核細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該目的配列が該切断部位で染色体に挿入され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該目的配列の挿入により疾患の遺伝子治療がなされることを特徴とする、疾患の処置方法。
請求項39
核酸が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を更に有し、目的配列が相同的組換えにより切断部位に挿入されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
請求項40
核酸が該切断部位に対して実質的な相同性を有せず、目的配列が非相同的末端結合により染色体に挿入されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
請求項41
真核細胞の染色体の標的配列を破壊することにより真核生物の遺伝子治療を行う疾患の処置方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする核酸で該真核生物の少なくとも1つの細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが染色体に切断部位を形成し、該標的配列が該切断部位での非相同的末端結合により破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該標的配列の破壊により疾患の遺伝子治療がなされることを特徴とする、疾患の処置方法。
請求項42
ウィルス病原体のゲノムの標的配列を破壊して真核生物宿主におけるウィルス病原体感染を処置する方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする核酸で該真核生物宿主の少なくとも1つの感染細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼがウィルスゲノムに切断部位を形成し、該標的配列が該切断部位での非相同的末端結合により破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該標的配列の破壊により感染の治療がなされることを特徴とする、処置方法。
請求項43
ウィルス病原体のゲノムの標的配列を破壊して真核生物宿主におけるウィルス病原体感染を処置する方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする第1の核酸と第2の核酸で該真核生物宿主の少なくとも1つの感染細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼがウィルスゲノムに切断部位を形成し、該切断部位での該ウィルスゲノム及び該第2の核酸の相同的組換えにより標的配列が破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該第2の核酸が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を有し、該標的配列の破壊により感染の治療がなされることを特徴とする、処置方法。
請求項44
原核生物病原体のゲノムの標的配列を破壊して真核生物宿主における原核生物病原体感染を処置する方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする核酸で少なくとも原核生物病原体が感染している真核宿主細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが原核生物ゲノムに切断部位を形成し、該標的配列が該切断部位での非相同的末端結合により破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該標的配列の破壊により感染の治療がなされることを特徴とする、処置方法。
請求項45
原核生物病原体のゲノムの標的配列を破壊して真核生物宿主における原核生物病原体感染を処置する方法であって、該方法は、メガヌクレアーゼをコードする第1の核酸と第2の核酸で少なくとも原核生物病原体が感染している真核宿主細胞をトランスフェクトすることを含み、該メガヌクレアーゼが原核生物ゲノムに切断部位を形成し、該切断部位での該原核生物ゲノム及び該第2の核酸の相同的組換えにより標的配列が破壊され、該メガヌクレアーゼが請求項1〜25のいずれか一つに記載の組換えメガヌクレアーゼであり、該第2の核酸が該切断部位に隣接する配列に相同である配列を有し、該標的配列の破壊により感染の治療がなされることを特徴とする、処置方法。
請求項46
認識配列の少なくとも1つの塩基位置に対する特異性を変化させた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法であって、該特異性の変化は少なくとも一つの所望の改変を有し、該方法は、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)該塩基位置の塩基接触面を形成するアミノ酸残基を同定し、(3)該接触面を有する少なくとも第1の残基のβ‐炭素と該塩基位置の少なくとも第1の塩基との距離を決定し、(4)(a)該第1の塩基から6Å未満である第1の残基に対しては、所望の改変を促進するためにG群、C群、T群又はA群の好適なメンバーの1つである1群及び/又は2群から置換を選択し;(b)該第1の塩基から6Åを超える第1の残基に対しては、所望の改変を促進するためにG群、C群、T群又はA群の好適なメンバーの1つである2群及び/又は3群から置換を選択することにより該所望の変化を促進するアミノ酸置換を同定することを含む、組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法。
請求項47
DNA結合親和性を高めた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法であって、該方法は、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)骨格接触面を形成するアミノ酸接触残基を同定し、(3)(a)負に荷電されているか又は疎水性の側鎖を有する接触残基に対しては、非荷電/極性又は正荷電の側鎖を有する置換を選択し;(b)非荷電/極性側鎖を有する接触残基に対しては、正荷電の側鎖を有する置換を選択することによりDNA結合親和性を高めるためのアミノ酸置換を同定することを含む、組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法。
請求項48
DNA結合親和性を低下させた組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法であって、該方法は、(1)参照メガヌクレアーゼ‐DNA複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定し、(2)骨格接触面を形成するアミノ酸接触残基を同定し、(3)(a)正に荷電されている側鎖を有する接触残基に対しては、非荷電/極性又は負荷電の側鎖を有する置換を選択し;(b)疎水性又は非荷電/極性の側鎖を有する接触残基に対しては、負荷電の側鎖を有する置換を選択することによりDNA結合親和性を低下させるためのアミノ酸置換を同定することを含む、組換えメガヌクレアーゼを合理的に設計する方法。
請求項49
認識配列が配列番号:37から配列番号:87からなる群から選択される、請求項1〜28のいずれかに記載の組換えメガヌクレアーゼ又は方法。
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